マンションを売却する時には仲介手数料などの諸費用が必要になりますが、様々な「税金」もかかります。税金がいくらかかるかを知っていないと、資金計画もままなりません。今回は、マンション売却時の税金についてお話しします。
一律でかかる税金は二つ
まず、どのようなケースでも一律で課税される税金が二つあります。
一つは「印紙税」そして「登録免許税」です。
印紙税は、マンションを売却する際の売買契約書に貼り付ける収入印紙です。売買代金によって印紙税の金額が変わりますが、1,000円~最高6万円まで区分があります。貼り付けた上で印鑑もしくは署名で消印することで納税したと見なされます。収入印紙を貼らないまま契約書を交付したり、消印を忘れたままにしておくと処罰の対象となります。
登録免許税は、あなたのマンションに抵当権が設定されていた場合に必要となります。住宅ローンを返済中であれば、必ず金融機関の抵当権が登記されています。売却の際には、その売買代金をもって住宅ローンの残債を一括完済しなくてはなりません。完済した後に抵当権抹消登記を行いますが、マンションであれば一室あたり1,000円の登録免許税となります。
売却して譲渡益が出るとかかる税金
誰しもが持ち家のマンションを売るときには「少しでも高く売りたい」「利益を出したい」と考えます。しかし、「譲渡所得(譲渡益)」が発生した場合には、売主は「所得税」「復興特別所得税」「住民税」の3つの税金を支払うことになります。この3つの税金をまとめて「譲渡所得税」と呼びます。つまり「買った時よりも高値で売れた」という場合には、譲渡所得税が発生してしまうのです。
譲渡所得税を決めるポイント
譲渡所得税を計算するのに必要なキーワードは、「譲渡所得」「取得費用」「譲渡費用」「マンションの所有期間」の4つです。
譲渡所得は次の計算式によって求められます。
譲渡所得=譲渡価格ー(取得費用+譲渡費用)
取得費用(一般的に取得費とも言う)は、当初マンションを買った時の費用です。主なものは
・売却するマンションの購入代金
・マンションを購入する際にかかった仲介手数料や税金(登録免許税など)
・入居後の増改築費用
です。
ここで重要なのは、マンションなどは時間の経過とともに資産価値が減少(減価償却)していきますので、買った時そのままの金額ではなく「償却費用」を計算して差し引きます。
減価償却費=建物購入価額×0.9×償却率×経過年数
減価償却費は建物の種類(木造、軽量鉄骨、鉄筋コンクリート)、用途(居住用、事業用)によって異なります。なるべくマイホームを売却した時に税金が少なくなるよう、事業用よりも居住用の建物の方が耐用年数も長く設定してあります。
例えば、5,000万円で購入したマンションを新築時から10年後に売却した場合の減価償却費は、
5,000万円(建物購入価額)×0.9×0.031(償却率)×10(経過年数)=1,395万円
したがって、取得費用は5,000万円ー1,395万円=3,605万円という結果になります。
一方、譲渡費用はマンションを売る時にかかった費用です。
例えば
・売却時に売主が負担した印紙税
・仲介手数料
などがあります。
つまり譲渡所得とは、売却金額から購入時・売却時の諸経費を差し引いたものです。これがマイナスになれば、当然ながら譲渡所得税はかかりません。プラスになると譲渡所得税が課税されるのです。
所有期間「5年」を境に税率が変わる
税金は税率を掛けて算出するのが基本です。譲渡所得税は上記で算出した譲渡所得に税率を掛けます。
ここで問題となるのが、そのマンションを何年所有していたかという期間です。譲渡所得税では所有期間が「5年未満(短期所有)」「5年以上(長期所有)」で税率が変わります。
所有期間 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計譲渡所得税 |
短期 5年未満 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
長期 5年以上 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
このように、所有期間5年を境に譲渡所得税が大きく変わるのです。バブル期のように短期間で転売を繰り返して利益を得るようなことは起こりにくくなっています。なお、譲渡所得税を決める期間のカウントは売却した年の1月1日を基準とします。購入した日から丸5年という数え方ではないので注意しましょう。
実はマイホームを売却した時には、この長期・短期関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
次回、詳細を解説します。