マイホーム売却を決めたらまずは仲介会社を選んで媒介契約を結び、売却活動を経て買主さんとの売買契約に至ります。買主さんが住宅ローンを利用する場合には、申込と金銭消費貸借契約を済ませます。そしていよいよ、買主さんからマイホームの残代金をいただき、鍵を引き渡しする日を迎えます。この最終段階の手続き日を「決済日」と言います。決済日当日には重要な手続きを行いますので、場所や持ち物を事前に確認しておく必要があります。
今回は、マイホーム売却の決済日の流れを解説します。
決済日の手続き場所は?
決済日当日は通常、買主さんが住宅ローンを利用するならばその金融機関に集合します。実行された融資金額をすぐに売主さん(あなた)の口座へ振り込む必要があるからです。ローンを利用せず現金で支払いをする場合には不動産会社の事務所などで行うこともありますが、安全面を考慮して金融機関で行うケースが多いです。
その場には売主・買主双方の当事者と、司法書士、仲介会社や金融機関の担当者が同席します。所要時間は1時間から2時間ですが、そのあとの手続きも関係するため午前中から行います。
当然、金融機関が営業している曜日になりますので、決済日は「平日」になります。
決済日の持ち物は?
マイホームの決済日に売主が持参するものは次の通りです。場合によっては不要なものもありますので、事前にしっかりと打ち合わせを行い、当日不備がないよう準備しましょう。
- 実印(名義人全員)
- 印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
- 本人確認書類(個人は運転免許証やパスポートなど顔写真付きのもの、法人は登記事項証明書・印鑑証明書など)
- 不動産の登記済証(権利証)もしくは登記識別情報通知
※売却不動産を購入した当時のものです。万が一紛失していた場合には、事前に司法書士にその旨申し出て「証明書」を発行(有料:5万円程度)してもらう必要があります。登記済証や登記識別情報通知は再発行されない書類ですので、大切に保管しましょう!
- 住民票または戸籍の附票、戸籍謄本など
※登記簿謄本の住所・氏名と突合します。どの書類を準備するかはケースによって変わります。
- 固定資産税評価証明書
- 通帳・通帳印
- 売却物件の鍵一式(住居以外に勝手口や倉庫なども鍵があれば。宅配ボックスや郵便受けなどに暗証番号があればそれがわかるもの。)
- 買主に引き継ぐ資料一式(購入当時のパンフレットや図面集、管理規約等、設備の取り扱い説明書一式、検査済証、境界確認書、測量図など)
- 仲介手数料、登記費用
※買主さんからもらう残代金の中から支払う場合は、準備不要です。
当事者の本人確認
まずは、司法書士が売主・買主の方の本人確認を行います。決済日は大きなお金が動き、不動産の所有権が移転する非常に重要な取引日です。なりすましや不正な取引を防止するためにも、本人確認はおざなりに出来ません。運転免許証やパスポートなどの写真付きの身分証明書が必要となります。
(※決済日に名義人本人がどうしても出席できない場合には、事前に司法書士と面談し、本人確認と必要書類を準備しておきます。当日は配偶者など代理人に委任して、残代金の受け取りや鍵の引き渡しを行います。やむを得ず代理人を立てる場合は、事前にしっかりと打ち合わせと準備を行いましょう。)
登記申請書類の作成
本人確認が済んだら、印鑑証明書や登記済証(権利証)などに不備がないかを確認し、登記手続きに必要な「委任状」に記入・捺印を行います。委任状には必ず当事者本人が直筆で記入します。
残代金の授受
いよいよ、最終の残代金が支払われます。買主さんが住宅ローンを利用して支払う場合には、まず住宅ローンの融資金が買主さんの口座に入金され、すぐに売主さんの口座へ振り込まれます。売主に住宅ローンの残債がある場合には、ここで一括完済します。残代金のほかにも、固定資産税・都市計画税の日割り分など必要な経費も同時に支払われます。売主さんの口座へ無事着金が確認されたら、受領した金額の領収書を売主さんから買主さんに発行します。
司法書士は法務局へ直行
お金の動きを確認したら、司法書士は直ちに管轄の法務局へ向かいます。
売主さんが住宅ローンを一括完済した場合には、その抵当権の抹消手続きを行います。その後所有権を買主さんへ移転し、買主さんが利用する住宅ローンの抵当権設定を行います。
登記申請書類は窓口が開いている時間のうちに提出する必要がありますので、こうした移動時間や手続き時間も逆算して、決済日は午前中から行うわけです。
鍵と書類一式の引き渡し
残代金の入金が確認出来たら、物件の鍵と引き渡し書類一式を買主さんにお渡しします。勝手口や倉庫など個別の鍵や合鍵もすべて引き渡します。マンションでは管理規約や総会の議事録なども、責任を持って引き継ぎましょう。
登記費用と仲介手数料の支払い
決済が完了したら、司法書士に登記費用を支払います。内訳は登録免許税と報酬額、その他必要な経費です。事前に見積もりをもらっておき、金額を確認しておきましょう。
そして不動産会社に仲介手数料を支払います。媒介契約にのっとりますが、一般的には売買契約締結時に2分の1、決済時に残りの2分の1支払うことになります。
決済日は必ず当日中に登記申請を行う必要があるため、不備やトラブルあると非常に困ります。事前に決済場所、持参物、手続き内容、費用をしっかりと打ち合わせしておきましょう。