自営業の人は住宅ローンを借りにくい?ー収入の見方ー

不動産コラム

マイホームを購入して住宅ローンを借りようとした時、「自営業だとローンを借りにくい」という話があります。残念ながらそういった現実があるのは否めません。

会社員や公務員など、いわゆる毎月お給料をもらって生活している人と、一体何が違うのでしょうか?また、どうしたら自営業の人でも希望の金額を住宅ローンで借入れすることができるのでしょうか?

収入の種類

会社員や公務員の毎月決まった期日に手にすることが出来るのが、「給与収入」です。これは自身が勤務している事業主などから支給されるお金で、基本給にいろんな手当などが加算された税込給与から、所得税や住民税、社会保険料などが決められた費用差し引かれます。最終的に手渡される金額がいわゆる「手取り収入」となります。
これに年2回、賞与(ボーナス)が追加で支給される会社がほとんどです。
給与で収入を得ている人の年収は、通常「税込年収」の金額を言います。

一方、自営業の人は誰かに雇われているわけではなにので「給与」以外の収入形態になります。
ほとんどが「営業等」という種別になりますが、他には「農業」「不動産」(家賃収入など)、「利子」「配当」「公的年金」などがあります。

お店などを経営している方は、自身の「営業」で得た収入の中から仕入れなどを行い、様々な経費(店舗を借りていれば家賃、水道光熱費、広告宣伝費、など)を差し引いて、一年に一度税金を納めます。このための作業が「確定申告」です。

自営業の人の年収は、確定申告をした際の「収入」から様々な経費などを差し引いた後の「所得金額」を言います。

ローン審査時に見られる金額

会社員は手取りではなく税込金額で審査を受けることになるので、実際の手取り金額より多い数字を年収として扱います。
逆に自営業の人の場合は、会社員でいうところの「手取り収入」(所得金額)で審査されます。

なんだか不公平のようにも思えますよね。

自営業の場合、年に一度の確定申告書の際に考えるのは「いかに経費で抑えて払う税金を節約するか」ということです。
「経費で落とす」という言葉をよく聞きますよね。
もちろん、経費として認められるもの認められないものがありますが、同じ1000万円の売上(収入)があったとしても、経費でいくら落とし、最終的な所得をいくらにするかで収める税金が変わってくるのです。

サラリーマンの税金が「ガラス張り」と言われるのと真逆で、ある程度の自由度が自営業の場合存在するのです。
いざ住宅ローンを借りようとした時に、しっかりとした収入があるにも関わらず経費で抑えすぎたために十分な資金を借りられない、これが実際のことろです。

では、自営業の人が住宅ローンをしっかりと借入れするためにはどうしたら良いでしょうか。

住宅ローンの審査は誰でも「証明書」に記載された数字で判断されてしまいます。ですから「確定申告書」の中の「所得金額」が十分にあること、これが大前提となります。

住宅ローンの申込前に今年の確定申告書の数字を上げてしまう人や遡って修正申告してしまう人がいますが、これはお勧め出来ません。
銀行は昨年だけの数字ではなく、この2~3年の収入が安定しているかどうかをきちんと見ています。住宅ローンを通すために一時的に操作してることは残念ながらお見通しなのです。

これまでより多くの所得金額で申告してしまうと当然それに見合った税金を納めなくてはなりません。申告したものの、住宅ローンの審査にもしも通らなかったら、、、あとの祭りになってしまいます。

ある程度余裕を持って、2~3年しっかりと実績を作った上で申込みをするのが一番です。

会社員でも給与でない場合がある

会社員の人が全員「給与収入」であるとは限りません。業種によっては給与以外の収入の人がいます。

代表的なのは保険会社の外交員の方などですが、源泉徴収票に「営業収入」や「報酬」という表記がされている場合は注意が必要です。給与以外の収入については、もろもろを差し引いた後の「所得金額」(金額が少なくなります)の方で見るのです。

会社員でも副業などで2箇所以上の勤務先から給与を得ている

営業成績で上下する「歩合」の割合が大きい

こういった方も、源泉徴収票や確定申告書できちんと収入を把握する必要があります。
何度も言いますが、銀行はとにかく「安定性・将来性」を重視して審査しますので「毎月確実に入ってくる収入金額」しか見てくれません。

一時的なもの、将来どうなるか不透明なもの、そういった収入源については除外されてしまうことがあるので注意しましょう。