分譲マンションに何年か住んでいると、家族構成が変わって手狭になる、逆にこれまでの広さが不要になる、転勤で住み続けることが不可能になったりするケースがあります。何らかの事情で今のマンションから「住み替え」が必要となった時には、「売却」という方法があります。今回はマンションを売りたくなった時、まず最初にするべきことをお話しします。
まずは「いくらで売れそうか」を確認
マンションに限らず不動産を売却しようと思い立ったら、まずは「査定」です。査定とは、あなたのマンションが「いくらで売れそうか」を判断して売却価格を決める大切な作業です。査定によって提示される価格は、その時の市況や経済情勢によっても上下します。時には今が売り時でないと判断するケースもあるでしょう。
不動産会社へ査定を依頼
査定をしてくれるのはもちろん不動産業者ですが、ポイントは必ず複数の不動産会社へ依頼することです。場合によっては数百万円もの差が出ることもあります。マイホームの値段を正確に把握するためにも、必ず査定結果を比較してみましょう。
また、一口に「査定」と言っても2種類あります。一つは「簡易査定」と言って、最近の取引事例(付近の類似物件がいくらで取引されているか)やそのマンションの築年数や立地(駅までの距離など)などの物件概要などをもとに算出する方法です。実際にその物件のお部屋を見に行かずに判断するので「机上査定」とも言われます。
なお、簡易査定にかかる費用はほとんどの場合が無料です。最近はオンラインで複数の不動産会社へ一斉に無料査定を申し込むサービスもあります。
もう一つは「訪問査定」「現地査定」と呼ばれるもので、不動産会社の担当者が実際に物件がある現地へ足を運び、実物のマンションのお部屋を調査します。簡易査定のデータを踏まえ、実物を見てより詳細な査定価格を算出することができます。
訪問査定では、物件の周辺環境や道路との位置関係、日当たりや眺望、室内の設備や使用状況などその物件ならではの事情が影響します。より精度の高い値段が提示されるので、簡易査定よりも現実的な数字となります。
依頼する不動産会社は、大手の不動産会社だけでなく、地元で沢山の物件を取り扱っている実績のある会社にも依頼しましょう。もちろん会社の大きさだけでなく、営業マンの人柄や相性も大切になってきます。
査定前に準備しておくべきこと
少しでも良い値段で時間をかけずに売却するためには、不動産会社任せにするのではなく、売主であるあなたのちょっとした努力も不可欠です。査定に出す前に、出来ることをしておきましょう。
まず一つ目は、自分で「相場」を探ってみることです。住宅総合サイトや不動産会社のHPなどで付近の物件がどのくらいの価格で販売されているかを、実際に調べてみましょう。ある程度の相場感を持っていれば、査定価格が適正かどうか判断することが出来ます。
また、現在支払い中のあなたの住宅ローンが、いくら残っているかも重要です。ローン返済予定表を確認して、残債金額(残っている元金金額)を把握しておきましょう。売却金額でローンを完済できなければ手持ち金を出してでも抵当権を抹消しなくてはなりません。ローン残債がある場合は、それ以上の金額で売れるかどうかが成功の鍵となります。
次に必要書類を揃えておきましょう。その物件の登記済証・登記識別情報、固定資産税通知書・固定資産税評価額証明書は必須です。
マンションの場合は販売当時の図面集やパンフレット、管理規約集、入居当時にあれば住宅性能評価書など。途中でリフォーム工事などを施した場合には、その内容や金額が分かるものがあると良いです。修繕履歴があれば、その内容もわかるようにしておきましょう。より住み易く大切にしてきた物件をアピールするポイントになります。
さらにその物件の長所を整理しておきましょう。実際に生活してきたからこそ分かるポイントをまとめておくと、買主さんへの高評価に繋がります。
例えば
- 駅までの近さ、駅まで遠くてもバス便が多く利用しやすい
- 子供も教育環境が整っている、保育園や幼稚園に通わせやすい
- スーパーや医療機関が近い
- 道路が広く安全、大きな道路でも歩道橋が設置してある
- 役所や図書館などの施設が近い
- 住んでいる地域の行政(子育て支援・助成金・補助金)サービスが良い
などです。
そして訪問査定を受ける前には部屋の中を片付け、最低限の清掃をしておきましょう。お金をかけてハウスクリーニングをする必要はありませんが、少しでも見通しよくして営業マンを迎えましょう。