中古住宅を売却したいと思っている方は、「家が古いから売れるだろうか・・・」とお悩みだと思います。特に一戸建て住宅の場合、建物の築年数がかなり経過していると「建物を取り壊して更地にした方が売りやすいのでは？」とお考えの方も多いようです。しかし、いくら建物が古くても出来るだけ高く売却したいと考えるのは当たり前のお話です。
今回は、一戸建て中古住宅を上手に売却するコツをお話しします。
リフォームしてから売った方が良い？
購入してから一度もリフォームしていない建物を売却するケースは、非常に沢山あります。築年数が経過すると、壁紙が古くなり剥がれたり、水回りの設備に不具合が出たり、屋根や外壁にもひび割れが生じて雨漏りが発生してしまうこともあります。いざ売却しようとする際に、これらを綺麗にリフォームした方が高くうれるでしょうか？答えは「NO」です。
リフォームをしない方が良い理由、まずはコストが掛かってしまう点です。リフォームに掛けた分を上乗せして高く売れるかどうかはわかりません。例えば、キッチンやトイレ、お風呂などの水回りと、雨漏り箇所を修復して500万円掛かったとします。その500万円を売却価格に上乗せして売れるかというと、かなり厳しいのが現実です。
しかも売主がリフォームを行うと、どうしても売主の趣味や好みとなってしまいます。次に買ってくれる人の趣味や好みと掛け離れていたら、価格に上乗せされた分は「割高だ」と感じる要因となってしまいます。売主が先にリフォームをしてしまうと、結果的に買主の幅を狭めてしまうことになってしまいます。
例えば高齢の方が売主の場合、落ち着いたカラーや質感のリフォームになりがちです。その物件を気に入った方が若年層の子育て世代ファミリーだと全く趣味が合わず、せっかく立地は気に入っても「住みたくないな」と思われます。若者好みの色やデザインにしてしまうと、シニアの夫婦には受け入れ難いといった逆のパターンも有り得ます。せっかく高いお金を投じて綺麗にしたとしても、「高い上に、デザインが好みじゃない」となると勿体無いですよね。リフォームはせずに売却した方が売りやすいのは、こうした理由があります。
「リフォーム」と「修繕」は別と考えよう
元々、中古住宅を購入しようと考えている人はある程度の経年劣化は想定内です。新築住宅の様な綺麗さ新しさは求めていません。
それよりも「自分好みにリフォームやリノベーションをしたいから、中古住宅を探している」という人がほとんどです。こうしたニーズが多くなっている昨今、建物には手を加えずそのままの状態の方が売りやすいのです。
ただし、例えば壁に穴が開いているとか、壁紙が剥がれているなどの箇所は「修繕」しましょう。もしも買主候補の方が内覧した際に、印象を悪くする部分は少ない方が良いからです。傷んでいる箇所は、出来るだけ修繕、修復をしておきましょう。
また修繕箇所をそのままにしておくと、値引き交渉の材料にされてしまうことがあります。修復を理由に数十万円単位で値引き交渉されるのであれば、事前に多少の出費で修繕した方が良いでしょう。どの程度まで修繕したら良いか迷った場合には、不動産会社に相談するのも一つです。
古くても建物はそのままに
次に、築年数が古い建物は取り壊して「更地」にした方が売りやすいでしょうか？一戸建ての住宅は、「２０年も経てば価値がゼロになる」と言われますが果たして本当にそうでしょうか？そうした考えが横行している要因は、減価償却を計算する時に使用する「法定耐用年数」（木造住宅の場合の法定耐用年数は22年）が関係していると思われます。この年数は決して建物の寿命を指しているわけではありません。築22年を超えていても、十分に住める住宅は沢山あります。
建物の躯体をそのまま利用してリノベーションするケースも増えていますので、取り壊す必要はありません。
ただし、雨漏りが酷い、建物が傾いているといった欠陥がある建物は話が別です。とても住める状態でない建物は、解体した方が良い場合もあります。このケースでは「現場渡し」という方法で売却すると、売主が解体費用を負担せずに売却することが出来ます。建物価格は0円となるので土地代のみの売り出しに成しますが、出費を最小限に抑えることが出来るのです。
住宅瑕疵保険に加入しよう
中古住宅を購入する人にとって重要なのが、「住宅ローン控除が利用できるか」です。住宅ローン控除は木造住宅の場合築20年以内とされていましたが、「住宅瑕疵保険」に加入することで住宅ローン控除の対象になっていました。今年度の改正で築年数要件が撤廃されたため保険は必須ではなくなりましたが、住宅瑕疵保険は買主にも売主にもメリットがあります。建物を売却した後で何らかのトラブルが発生した場合、保険で修復が可能なので安心だからです。第三者機関からの保証付住宅として買主へのアピールにもなり、付加価値をつけることも出来ます。
必要以上にリフォームや解体工事をしなくても、中古住宅は売却できます。迷った時にはお気軽にご相談ください。
