不動産のチラシやHPなどの広告で「頭金0円で購入出来ます!」という謳い文句を見ることがあります。
「貯金が全然ない自分たちでも、憧れの持ち家が買えるかも⁈」と、背中を押すには十分なこの文言ですが、実は不動産を購入する際には『諸費用』と言われるお金が必要なのをご存知ですか?このお金は物件の価格とは別に必要なもので、いわばプラスαとなる費用なのです。
不動産購入の諸費用の中身
いわゆる物件の代金とは、マンションで言えば買うお部屋の価格、戸建であれば土地代や建物の工事代金を指します。
例えば予算3,000万円を想定していたとして、物件代金がちょうど予算内だったとしても、諸費用を合わせると予算オーバーとなるケースがあります。
一般的に、その諸費用は物件代金の5%~10%などと言われています。3,000万円の5%~10%となると150万円~300万円です!!資金計画を立てる上で絶対に無視できないこの諸費用。何にそんなにお金が掛かるのでしょうか?
代表的な項目としては次のものがあります。
・登記費用
建物が出来上がった時の表示登記費用、名義人をあなたにするための所有権保存もしくは移転登記費用、住宅ローンを借入する場合の抵当権設定登記費用。
登録免許税という税金と、土地家屋調査士や司法書士に支払う報酬額を合わせて請求されます。
住宅ローンの借入額等にもよりますが、数十万円になります。
この費用を浮かす為に、「頑張れば自分でも出来る」と煽っているネット記事などがありますが、売主側から禁止される場合が多いですし、リスクが高いため実際お勧め出来ません。
・印紙代
売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約証書に、金額に応じた収入印紙を貼付(納税)します。
・住宅ローンの事務手数料や保証料
住宅ローンを借りるのもタダではありません。銀行に対しての手数料や、保証会社へ支払う保証料が必要です。定額であったり借入額の○%という設定であったり種類がありますが、これも数十万円必要です。
オールキャッシュで購入する場合はもちろん不要となります。
・火災保険料、地震保険料
住宅ローンを借入する場合は必須です。出来上がった建物に万が一に備えて保険に加入します。どんな補償をどこまで付けるのかプランによって値段に差があります。家財保険などもプラスすると当然値段がアップします。また地震保険は、地域差があります。
・仲介手数料
不動産会社を通して物件を購入した場合には、その売買代金に応じて手数料が発生します。(売買代金×3%+6万円という簡易式で計算する事が出来ます。)売主である不動産会社から直接購入する場合は不要です。
・不動産取得税
不動産を取得した時に一度だけ納める税金ですが、新築の場合は全て控除されて非課税となる場合もあります。
・固定資産税、都市計画税の日割り分
固定資産税は毎年1月1日時点での登記簿謄本上の所有者へ請求されます。引渡しを受けた日から年度末である3月31日分までを日割りで支払うことになります。
・マンションの場合は修繕積立基金、管理準備金など
入居後毎月支払う管理費・修繕積立金の他に、引渡し時一括である程度まとまった金額を徴収されます。これが30万円~50万円(物件価格によってはもっと高くなる場合もあります)必要です。
モデルルームなどで資金計算を出してもらうと、これらの諸費用部分についても概算書が提示されるはずです。
大まかにオールキャッシュで購入した場合でも約100万円、住宅ローンの借入をするならばさらに100万円前後で200万円と考えておくと良いでしょう。
この他にも引っ越し代(シーズンによって金額が異なる)や、エアコン・カーテン・照明器具などの必需品にもお金が掛かります。新居に合わせて家具なども新調した場合にはもっと掛かります。
諸費用もローンで借りられる?
基本的に住宅ローンとは購入した物件を担保に借入れするので、こうしたそれ以外の諸費用については対象外となっています。
最近は物件代金の110%まで貸してくれる住宅ローンなども出てきていますが、「諸費用ローン」として別の商品となっているケースが主流です。そして当然ながら、金利は住宅ローンより高めとなっています。物件の方で目一杯借入れしていた場合には、返済負担率オーバーで借入れ出来ない事があります。
フラット35では昨年度より諸費用部分に融資対象が広げられ、随分と利用しやすくなったようです。
さらに今年度(2019年4月以降本申し込み分より)からは、これまで不可だったマンションの修繕積立基金や管理準備金などの引渡し時に一括払いする費用も対象となりました。
新築マンションを購入する人にとっては朗報ですね。
諸費用をローンで借りる場合には、見積書、請求書、領収書などのエビデンスが必要で、当然ながら余計にお金を借りることは出来ません。
「借りられる」ことと「返せること」は別ものです。
また「現金はあるけど敢えて出さない」場合と、「現金が全く無いから借りる」のも別ものです。
手持ちの現金が無い場合は、予算を少し下げるなど万が一に備えてより慎重に資金計画を立てましょう。