管理会社の役割とは?

不動産コラム

分譲マンションと一戸建ての大きな違いは、「管理」です。管理といえば、管理会社の存在ですが、そもそもこの管理会社は一体何をしているのでしょうか。マンションは何世帯もの家族が同居する集合住宅ですから、当然共用部分を日頃から維持管理する必要があります。「管理人さん=清掃してくれる人」というイメージが第一にあがると思いますが、業務はそれだけではありません。

今回は、管理会社の役割についてお話しします。

一番大事なお金に関する業務

マンションを購入すると、住宅ローン以外にも毎月の管理費や修繕積立金の支出があります。一戸建てには必要ない費用ですが、逆に言えば一戸建てでは個人の責任で一切を維持管理する必要があります。設備機器などの点検や交換などは、何か不具合が起こった時に初めて取り掛かるというケースが多くなります。
マンションは共同住宅であると同時に入居者の共有財産にもなりますから、管理費や修繕積立金は、将来にわたってその資産価値をできるだけ高水準に保つための費用だということができます
管理会社は、そのためのお金の管理を請け負うのが大きな仕事になります。
毎月の管理費・修繕積立金の徴収、会計出納業務を行い、入居者に収支報告を行います。万が一、これらのお金が未納になっている場合には、督促をすることもあります。

入居者の話し合いに関する業務

物件の引き渡しを受けると、入居者は全員「管理組合員」になります。入居者達の組織が管理組合となります。
日々の暮らしの中では、いろいろな問題が起こったりもします。また、当初定められていた管理に関する決まりごとも、変更する必要がある場合もあります。
年に1度は必ず、理事会や管理組合総会などが開催されるのですが、管理会社はその実施や運営に関しての補助を行っています。

長期修繕計画・大規模修繕の実施

マンションの資産価値を維持する上で、最も大事なのが大規模修繕です。
時間とともに生じる経年劣化や老朽化をいかに防ぎ、直し、快適な住環境を維持するか。管理会社にとっては一番技量が問われる業務とも言えます。
入居当初に立てられた長期修繕計画は、あくまで予定です。建物は、天候や自然現象によって傷み方も変わってくるので、修繕費も定期的な見直しが必要となってきます。将来生じる大規模修繕に備えて、定期的に修繕積立金の見直しをし、いざという時にお金が不足しないように備えておくのも管理会社の大事な仕事なのです。
(管理費や修繕積立金は何十年もの間定額ではありません。「値上げするなんて聞いていない!」というのは、今の時代通用しません。逆に、値上がりしない計画の場合はよくよく確認することをお勧めします。)
しかし管理会社が直接、修繕工事を実施するわけではありません。必要な工事をいかに低コストで実施するか、そのための施工業者選びこそが管理会社の重要な仕事なのです。

日々の清掃業務と窓口業務

共用廊下や敷地内の植栽の管理など、いわゆる共用部を綺麗に保つ清掃業務は管理人の代表的な仕事です。大規模な物件の場合は、管理人とは別に清掃員が配置されていることもあります。
毎日の清掃業務の積み重ねでマンションの美観が保たれるわけですが、それは売却時の査定に影響することもあります。
大規模な物件では、管理人とは別に清掃員が配置されることもあります。
その他、いろいろな届け出などの受付、来訪者への対応などの窓口業務もありますし、防犯や災害などの緊急時にも初期対応が求められます。
タワー物件や高額物件なのでは「コンシェルジュサービス」と銘打って、もっと暮らしの利便性が向上するサービスを提供しているケースもあります。
これらもすべて管理会社が人員を配置して実施されています。

このように、「管理」とひとくちに言っても様々な業務があり、委託された管理会社が様々なサポートを行っているのです。
管理会社にもいろんな会社がありますが、大手のデベロッパーと言われる分譲会社は自社グループの管理会社に委託するケースがほとんどです。
関連会社が管理会社の場合、グループである強みを生かして物件の詳細情報を得やすいため、トラブル時の対処で安心しやすい面があります。

引き渡し当初は指定の管理会社との委託契約を強制的に引き継ぐケースが多いのですが、実は途中で管理会社を変更することも可能なのです。組合の決議が必要ですが、より親身に低コストで対応してくれる会社があれば乗り換えるのも一つです。
ただし「自主管理」といって、管理会社を利用せずに入居者たちだけで管理を行うスタイルは、あまりおすすめできません。管理費用の削減だけに重きを置くと、どうしても資産価値の低下を招いてしまう結果になるからです。

入居後は、売主よりも管理会社といかに上手く付き合うかが鍵となります。