新築VS中古 価格上昇が続くマンション市場での狙い目は? 

不動産コラム

最近の不動産の価格高騰は「東京オリンピックが終わるまでは落ち着かないだろう。」と、決まり文句のように言われてきました。しかし実際にはオリンピック景気はコロナ禍の影響で盛り上がることもなく、マンションの価格はそれとは関係なく右肩上がりに上昇し続けています。

相変わらず低金利が続いていることが背景にあるようですが、今後も引き続きマンションの価格上昇は続くと見ておいた方が良いかもしれません。そんな中でこれからマイホームを購入しようと思っている人にとっては、新築では中々予算が合わない人も。価格的には当然中古マンションの方が安いので、選択肢を広げてみるのもお勧めです。

価格は上昇、面積は縮小

皆さんが買いたいと思うマンションの間取り、広さはどのくらいですか?子供がいるファミリー世帯だと「3LDKで75㎡、最低でも70㎡は欲しい。」そんな答えが良く返ってきます。70㎡台の3LDKであれば、一つ一つの居室、リビングダイニングもしっかりと広さが取れるので非常に理想的です。

しかし現実はどうなっているかというと、70㎡台でも特にゆったりした「70㎡台後半」の3LDKのシェアは減少傾向にあります。東京23区では2010年を境に20%を割り込み、2021年には10%台となっています。その代わりに増加しているのは60㎡台の3LDKです。こうした傾向は地方都市でも見られ、一昔前よりもコンパクトな3LDKが主流になりつつあります。これまで75㎡を基準に家探しをしてきた人にとっては、少々物足りない広さかもしれません。

一方で首都圏の新築マンション平均価格は2012年が4,540万円。そこから2019年には5,980万円まで上がっています。上昇率を計算すると実に約32%という結果になり、その原因は地価の上昇と建築価格の高騰に他なりません。

実は新築マンションを販売する不動産会社は「坪単価」によって価格を決定しています。つまり、同じ広さでも坪単価が上昇すれば価格も上昇するという計算になります。75㎡は坪数に換算すると22.68坪です。坪単価が200万円の物件だと4,536万円ですが、坪単価が230万円になると5,216万円となります。

ここに上記に述べた専有面積の縮小化の理由があるのです。新築マンションの売主は価格の高騰による売れ行き不振を避けるために面積を縮小し、手の届く価格に抑えているわけです。その結果、数年前と比べて「同じ広さでも価格が上昇している」、そして「同じ予算だと面積が小さい部屋しかない」という現象が起きているのです。新築マンションは買いにくい時代になってきたのかもしれません。

コロナ禍で住宅に求めるニーズが変化

近年新型コロナウイルスによる社会生活の変化の中で、住宅へのニーズが変化しました。在宅ワークの増加により、より広い部屋、部屋数の多い家、が求められるようになったのです。しかし、新築マンションは価格が高騰、しかも専有面積は縮小傾向にあります。

そこで、中古マンションへの注目が高まるわけですが、メリットは価格だけにとどまりません。実は設備一つ一つも価格に影響するため、これまで標準仕様が当たり前だったものが取り付けられていない、もしくは有料オプション対象となっているケースがあります。

例えば、キッチンのディスポーザー(生ごみ処理機)、浄水器付き水栓、床暖房、バルコニーのスロップシンクなど。これらの設備は当たり前の時代になっていましたが、価格高騰を抑えるためにやむを得ず省略している新築マンションもあります。

つまり、75㎡前後のゆったりした3LDKで室内の設備機器も充実しているのは、実は中古マンションの方が多いかもしれないのです。

2010年以降の中古マンションは構造も進化

中古マンションも時代と共に進化しています。2010年代に建築されたマンションではほとんどが床のスラブ厚が200ミリ以上が標準になりました。マンションのデメリットの一つである騒音問題も、軽減されてきた時代です。

また2011年に起こった東日本大震災の教訓から、共用部分に「災害備蓄倉庫」を設置しているマンションが急増しました、万が一の時に「災害に強いマンション」を売りにした物件が多く登場し、既存の中古マンションでも災害対策に力を入れている管理組合が増えました。また、結露を防ぐ効果が高いペアガラス(複層ガラス)を使用したサッシも主流となっています。

それ以前の中古マンションでも柱を外に出しているアウトフレーム工法であれば、家具配置がしやすく改良されています。

価格が安く、構造や設備機器、仕様が新築マンションと比較しても遜色なければ一考の価値があります。これからマイホームを検討する方は、是非中古マンションも選択肢に入れて探してみてください。