マイホーム購入を決断したら、大半の人は住宅ローンを利用すると思います。まずは、不動産会社が斡旋する金融機関に住宅ローンの事前審査をしてもらい、希望する金額が借入れ出来るかを打診します。
事前審査を無事通過し、借り入れの目処がついたところで物件の購入申込や契約手続きへ進みます。事前審査はあくまでも仮審査に過ぎないので、その後で正式な「本申し込み手続き」へ進みます。
源泉徴収票だけではなく、行政が発行する課税証明書等で自分の収入を正確に申請し、家族全員の住民票なども提出します。本申し込みの審査を終えて正式な融資承認が下りれば、ようやく一安心出来ます。
しかし、正式な承認を取り付けた後で決してやってはいけないことがあります。
退職・転職は絶対にNG!!
住宅ローンの正式な承認が下りた後でやってはいけない事、それは「退職」「転職」です!よく「住宅ローンの承認が下りたから、これで大丈夫」だと勘違いして、会社を辞めてしまう人がいるのですがこれは絶対にやってはいけません。
要するに、住宅ローンの申し込みをした際に記入した「勤務先」を変えてはいけないのです。
何故なら、銀行はこれまでの勤務先で得た収入を基準に審査しているからです。このままこの勤務先に在籍して、この収入が安定的に得られることを大前提としているのです。銀行はあくまでもこれまでのあなたの実績を審査するのであって、「これからもっと良くなる」という未来の予定や想像の話では絶対に審査してくれません。いくら転職した後の会社がこれまでより高い給料を支払ってくれるとしても、銀行は認めてくれません。お金を貸す方の銀行からしたら、「そんな話は聞いてないよ」となってしまうのです。
「黙っていればバレないんじゃないか?」と考えがちですが、これも到底無理な話なのです。
健康保険証には何が書いてある?
実は、退職や転職は絶対に銀行にバレてしまうのです。というのが、住宅ローンの本申し込みをしただけではお金を借りることが出来ないからです。最終的に銀行からお金を貸してもらう前に、「金銭消費貸借契約」という、お金の貸し借りに関するとても重要な契約手続きを行います。これは絶対に必要不可欠な手続きです。
健康保険証には、あなたの勤務先や勤務を開始した時期が記載されています。銀行は健康保険証を見ることで、あなたがこれまでと同じ勤務先に在籍していることと勤続年数を確認できるのです。退職したら、この保険証は速やかに勤務先に返還しなくてはいけません。通常のサラリーマンが退職したら、国民健康保険に加入するか、一定期間「任意継続」するかを選択するようになります。つまり、勤務先を辞めてしまうと健康保険証が変わってしまうため、あなたが退職した事実が判明してしまうのです。ここは残念ながら、どう取り繕っても避けて通ることができないのです。
突然のリストラにあった場合
コロナ騒動に代表されるように、今の世の中、突然勤務先から解雇される場合もゼロではありません。買主が自らの責めによらず勤務先より解雇された場合や退職勧奨により退職を余儀なくされた場合、休職を命じられた場合には、「融資利用の特約」によって物件の契約そのものを白紙解約できるようになっています。重要事項説明書にきちんと明記されているはずですので確認しましょう。この場合は、支払った手付金も買主に返還されます。
このような場合ではなく、買主が勝手に退職したり転職した場合には「融資利用の特約」の対象外となります。例えヘッドハンティングなどの良い話であってもです。
知らずに退職・転職してしまうとどうなるか?
もしも、ご主人が住宅ローンの実行前に退職してしまったら・・・。
実際にあったケースをお話しします。
あるお客様は、正社員として働いている奥様とペアローンで住宅ローンを借りる予定でしたが、金銭消費貸借契約前にご主人が退職(その後独立して事業を始める予定)してしまいました。
不足する金額を自己資金で賄うことも出来ないため、奥様一人で最大限借入れできる金額で再度事前審査を打診。予定よりも800万円資金が不足してしまうことになりました。そこで購入する部屋をもう少し狭くて価格が安い部屋へ変更し、奥様一人の名義で住宅ローンを借入れしました。
このケースでは、奥様にある程度収入があったため何とかすることが可能でした。
もしもすでに転職してしまっていたら、新しい勤務先での給与明細書を提出して割戻年収で審査を受けることも可能ですが、最低でも3ヶ月分は必要とする銀行がほとんどです。また、審査も厳しくなりますし、予定していた金額が借入れ出来るとも限りません。
マイホームを購入する際には、絶対に入居するまで転職・退職はしないようにしましょう。最悪、支払い済みの手付金を放棄しなくてはならなくなりますので、要注意です!!