住宅ローン控除を受けようとする人は、給与所得者・自営業者を問わず、入居した翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。「年末調整で手続きするのでは?」と勘違いしている場合がありますが、これは2年目以降の控除を受けようとする給与所得者の手続きです。自営業者は毎年行う確定申告の中で一緒に手続きします。
確定申告をする意味
会社員や公務員といった給与所得者は、「確定申告」の手続きにあまり馴染みがないのが一般的です。医療費控除やふるさと納税で、確定申告をしたことがあるくらいでしょう。
住宅ローン控除は、住宅ローンを借入してマイホームを購入した人だけが受けられる税制優遇です。これは、所得税の控除を受ける制度なので、財源は自分自身が1年間納税した所得税ということになります。「給付金」と大きく違うのは、お金の出処です。こうした税金の還付を受けるには、「申告」手続きが必須で、もしも手続きを忘れてしまうと控除は行われません。初年度の確定申告を忘れてしまった場合、翌年(2年目)に改めて初回の確定申告をすれば住宅ローン控除を受けることはでます。しかし、トータル13年もしくは10年の控除期間が1年少なくなってしまいますので注意しましょう。
住宅ローン控除を受けるには、全ての対象者が初年度の確定申告が必要となります!
そもそも給与所得者は、毎月の給与から所得税が天引きされるシステム(源泉徴収)になっていますが、「年末調整」は年税額と一致させ、過不足を清算する手続きにすぎません。年末調整で一度清算が終わっているのに加えて、さらに確定申告で所得税を還付すると覚えておきましょう。
住宅ローン控除の適用要件
住宅ローン控除は税金の控除なので、「適用要件」を満たすことが大前提です。
2024年(令和6年)入居の場合、次の要件を確認しましょう。
【居住要件】
・2024年1月1日から12月31日までに入居すること
・取得後6か月以内に入居すること
・その年の12月31日にまで引き続き入居していること(継続が必要)
【人的要件】
・住宅ローン等を利用してマイホームの新築・取得又は増改築等をした個人であること(法人名義は対象外)
・その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
(ペアローンの場合は、それぞれの合計所得金額でそれぞれ判定します)
・ローン控除を適用した年と前2年及び後3年の計6年の間に、前の自宅等について、3,000万円控除などの
特例を適用しないこと(3,000万円控除と住宅ローンはどちらか一方の適用です)
・入居した年の翌年3月15日までに確定申告をすること
【住宅要件】
・主たる住居であること(セカンドハウス、投資用物件は対象外です)
・家屋(マンションは専有面積)の登記床面積が50㎡以上であること(パンフレット面積は壁芯計算のため、登記簿謄本に記載の面積を確認しましょう)
※新築住宅又は新築後未使用の住宅の場合、合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、床面積40㎡以上50㎡未満も対象となります
・家屋の床面積の1/2以上が専ら居住用であること
・中古住宅の場合
登記簿上の建築日付が1982年(昭和57年)1月1日以後であること(新耐震基準)
上記以外の場合、取得の日までに以下のいずれかの要件を満たすもの
ⓐ耐震基準適合証明書が取得できたもの
ⓑ既存住宅売買瑕疵保険に加入したもの
ⓒ取得の日までに耐震工事を申請して、居住の日までに工事が完了したもの
【借入金要件】
・住宅とその敷地を取得するための借入金であること
・返済期間が10年以上の借入れであること
・金融機関からの借入金であること
(勤務先からの借入は金利年0.2%以上の場合のみ、親族からの借入金は対象外)
申告に必要な書類
確定申告の手続きは、国税庁サイトの確定申告書作成コーナーを利用して申告書を作成し、郵送もしくは電子申告する方法がポピュラーです。
申告書の他にも、下記の必要書類を準備しましょう。
・本人確認書類の写し
・建物・土地の登記事項証明書(法務局で入手しましょう)
・建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
・源泉徴収票
・住宅ローンの年末残高等証明書(借入をしている金融機関から送られてきます)
令和6年入居の場合、住宅の省エネ区分によって4つのカテゴリーに区分されます。それぞれの必要書類は以下の通りです。
- 長期優良住宅・低炭素住宅(借入限度額4500万円)
→ 「認定通知書」の写しと市区町村の「住宅用家屋証明書」(の写し)
- ZEH水準省エネ住宅(借入限度額3500万円) および ③省エネ基準適合住宅(借入限度額3000万円)
→「住宅省エネルギー性能証明書」または各基準への適合を証する「建設住宅性能評価書」の写し
上記3つのカテゴリーの場合
税額控除額=年末時点の借入残高(借入限度額を上限)×控除率0.7%
控除期間は13年です
長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅、いずれにも該当しない場合は、④その他の住宅 という扱いになります。「確認済証または検査済証の写し(2023年12月31日以前に新築の建築確認を受けたことを証するもの)」か「登記事項証明書(2024年6月30日以前に建築されたことを証するもの)」のいずれかの提出が必要となります。借入限度額は2000万円、控除期間は10年に短縮されます。
住宅ローン控除の確定申告は決して難しい手続きではありません。必要書類を早目に準備し、締め切りぎりぎりにならないよう余裕を持って申告しましょう。