「内窓設置リフォームで断熱効果アップ!実は後悔する人も・・・デメリットも知っておこう

不動産コラム

昨年に引き続き「先進的窓リノベ2024」が実施されていますが、工事代の約半額が補助金で賄えるこの事業は大変好評です。その窓リノベの中でも、一番費用効果が高いと言われているのが「内窓」を設置する工事です。ただ、費用面だけにとらわれて工事をしてしまうと後から「こんなはずではなかった!」と後悔するケースもあるようです。

今回は「内窓」リフォームのメリット・デメリットを解説します。

「内窓」の効果

まず「内窓」とはその名の通り「インナーサッシ」を意味し、既存の窓の内側にもうひとつ窓を設置することです。窓そのものを断熱性能の高いものに取り換える「外窓」工事や、ガラスにフィルムを貼る工事などとの大きな違いは、二つの窓の間に大きな空気層が出来ることです。この空気層によって断熱性能が大幅に上がり、夏は涼しく冬は暖かい環境を実現できるのです。設置コストがかかったとしても、長期的に見ると冷暖房の効率がアップし光熱費削減につながります。

さらに断熱性能のアップによる恩恵の一つが「結露の防止」です。結露は冬場、室内と外気温の差が大きいと窓の内側に水滴が発生する現象です。たかが水滴と放置していると、サッシや巾木、周辺の木材にまで影響を与え、カビや雑菌が発生して家の寿命を縮めてしまいます。またカビの胞子は、ぜん息など健康被害の原因にもなります。 さらにカビはダニの餌になり、ダニの死骸や糞も、ぜん息や気管支炎、アトピー性皮膚炎の原因物質といわれています。結露の水滴は、様々な健康被害の原因になりうる怖いものです。こうした原因物質が排除できること、また毎日水滴を掃除する手間が省けるのは大きなメリットのひとつです。

また、内窓は単純に窓が二重になるため「防音効果」も期待できます。特に交通量の多い道路沿いや鉄道沿線に住んでいる場合、騒音対策として非常に有効です。音によるご近所問題を解決する方法としても重宝されています。

さらに窓の破壊が困難になることから、防犯性も高まるというメリットがあります。

内窓設置はもともと費用も安くあげられる上に、今回の「先進的窓リノベ2024」の補助金を利用すれば、非常にお得に快適な住環境を手に入れることができます。

「内窓」のデメリット

ただ、「内窓」を設置することによるデメリットがあるのも現実です。

まずは単純に窓が二重になることで、開け閉めする手間が2倍となってしまうことです。特に1階の庭に出る掃き出し窓や洗濯物を干す2階のベランダに出る窓、頻繁に出入りをする箇所では面倒さを実感してしまいます。

また窓が2倍となってしまうため、掃除の手間も2倍になります。サッシとサッシの隙間部分の掃除のしにくさなども、よく指摘されるデメリットの一つです。

さらに内窓を設置すると、部屋の狭さや圧迫感を感じてしまうこともあります。内窓はもともとの窓枠よりも8センチ程度内側に取り付けます。これまで窓枠部分に小物を置いたりしていた場合、ちょっとした余裕のスペースがなくなってしまいます。

さらに窓枠がない箇所では部屋の内側に枠のスペース分飛び出す形となり、居住スペースを圧迫します。場合によってはカーテンレールなどの移設も必要になります。

「ガラスの選択」も重要

内窓のサッシ枠はアルミ製ではなく樹脂製ですが、さらにガラス部分の種類によっても断熱効果や費用が変わってきます。実は、このガラスの選択を誤ると、しっかりとした断熱効果が実感できず後悔することも。

種類を見てみましょう。

  • 単板ガラス

もっとも一般的ですが一枚のガラスのため、断熱性や防音性は劣ります。

  • 一般複層ガラス

2枚のガラスの間に空気層(またはガス層)を設けたガラス。断熱性と防音性が向上します。ペアガラスと呼ばれることもあります。

  • Low-E複層ガラス

「Low-E」とは Low Emissivity(低放射)を意味します。ガラス表面に金属膜をコーティングし、赤外線や紫外線を反射することで熱の伝導を抑えます。②の複層ガラスに比べ、より多くの紫外線と日射熱をカットすることが可能です。

「アルゴンガス」入りのガラスとは?

複層ガラスの間には、「乾燥空気」が入っているものと「アルゴンガス」が入っているもの2種類があります。

「アルゴンガス」は元素記号で「Ar」、大気の中で窒素、酸素に次ぐ3番目に多く存在している気体です。無毒かつ不燃で無臭なことに加え、常温では化学反応を起こさない特徴を持っています。このアルゴンガスをガラスの間に注入することで、空気よりも優れた断熱効果を発揮します。一般的にはアルゴンガス入りの複層ガラスの方が価格は上がります。

窓リノベ補助金のグレード

2024年の先進的窓リノベのグレードは「P(SS)」「S」「A」「B」の4段階があり、補助金の金額も一番高いのがPとなります。予算に対しての効果を考えると、Sグレードを選択するのが一番良いと言われています。

各サッシメーカーの商品で、ガラスとの組み合わせでどのグレードになるかはきちんと確認して発注しましょう。

代表的な例でいうと、リクシルの「インプラス」ではLow-e、樹脂、アルゴンガス無しでSグレードの補助金対象となります。

一方、YKK「プラマードU」でSグレードを取るにはLow-e、樹脂、アルゴンガス入りが必要になります。

窓の場所や使い勝手などを考慮した上で、ベストなサッシを選択するのがおすすめです。

先進的窓リノベ補助金は予算に限りがあるため、早いもの順です。気になっている人は、早めに見積もりを取って検討しましょう。