中古物件の住宅ローン 気をつけるポイントとは?

不動産コラム

新築住宅の人気は相変わらずですが、最近では中古住宅を自分好みにリフォームして住みたい人も多く中古市場も活気があります。しかし住宅ローンを利用して中古住宅を購入しようとする際には、注意しなくてはならないポイントがあります。それは、「借入金額」と「借入期間」です。新築物件の場合には、物件価格の100%さらに諸費用部分まで融資可能なこともあります。また借入れ期間も最長35年がスタンダードで、最近では40年や50年などさらに長期間で組める住宅ローンも出現しています。このように新築と同じ条件で中古物件でも住宅ローンが借入できると考えていると、資金計画が狂ってしまう場合があります。

今回は中古物件で住宅ローンを借入する場合の注意点をお話します。

中古物件は「築年数」を確認

金融機関によって取り扱いが異なりますが、「中古マンションは築年数制限なしだが、中古戸建ては築30年以内」などのルールが設けられていることがあります。

その他にも「法定耐用年数ー築年数」の期間が、借入れ最長期間とされている場合もあります。木造一戸建ての場合には法定耐用年数は22年ですので、この計算式の場合には非常に短期間でしか借入できないことになってしまいます。また、鉄筋コンクリート造のマンションでは耐用年数は47年となっています。

こうした制限の背景には「建物は一定期間を過ぎると、価値が無くなる」という考え方があります。(決して古い住宅だと住めなくなるという意味ではありません。2011年の国土交通省の調査では中古住宅の平均寿命は65.01年で、年々長くなっています。)金融機関は住宅ローンの利用者がもしも返済不能に陥った場合には、その物件を売却して資金を回収しなくてはなりません。その時に物件の価値以上の残債があると、いわゆる「貸し倒れ」となってしまうので、わかり易く法定耐用年数を基準にしているのです。

実際、借入れ期間が毎月の返済金額に及ぼす影響は非常に大きく、例として3,000万円を35年返済と20年返済で比較してみましょう。

固定金利1.0% で計算すると

35年返済  84,685円

20年返済 137,968円

となります。毎月の返済額がここまで違うと、返済計画にも支障が出てしまいますので要注意です。

借入上限金額にも注意

中古物件の場合には、金融機関は「担保価値」を重視します。借入れ期間と同様、借入れ金額についてもこの担保価値を元に「借入れ限度額」が決まります。場合によっては希望金額に届かず、自己資金を増やすなどの対応が必要になることもあります。戸建ての場合、建物が古い場合にはほぼ土地代のみとされます。

また金融機関や商品によって、住宅ローンにおける「中古物件」の定義が異なることがあります。「竣工から借入申込みまでが1年を超える住宅」または「既に人が住んだことがある住宅」とする金融機関が一般的ですが、フラット35では「竣工日(検査済証の交付年月日)から2年を超えている住宅」または「既に人が住んだことがある住宅」とされています。g申込み時点でどの時期に該当するのかも確認しましょう。

フラット35の中古物件融資

全期間固定金利のフラット35(独立行政法人 住宅金融支援機構の融資)では、建築年次が古く、耐震基準に適合しない物件でも「適合証明書」を提出すれば借入れすることができます。建物が一定の技術基準をクリアしていることを重視するので、検査機関による物件検査(有料)で基準への適合性が確認できた場合、融資の利用が可能になります。

また、新築当時にフラット35が利用できたマンションでは「中古マンションらくらくフラット35」に登録されています。専用サイトでは、基準を満たしている全国の物件を簡単に検索することができます。らくらくフラット35に登録されているマンションは物件検査を省略することができるので、検査費用をかけたくない、基準を満たしているか不安という方にはぴったりです。

申し込み時には該当物件の「適合証明省略に関する申出書」を印刷して提出します。

ただし中古マンションらくらくフラット35に登録されている物件でも、下記に該当する場合には融資は利用できません。

・床面積(登記面積)が30㎡未満

・店舗などの非住宅部分が住戸全体の床面積の1/2以上ある

・敷地が保留地転貸借地等である

・敷地または建物に買戻権が設定されている

中古物件の住宅ローンの審査では、あなたの返済能力(年収や勤務年数など)に加え、物件の担保評価が非常に重要になります。

中古物件の住宅ローンで不安な方は、お気軽にご相談ください。