念願のマイホームを決めて銀行に住宅ローンを申し込んだものの、審査が通らなかった・・・年収もしっかりとあるし、勤務年数も十分にあるのに何故?こんなケースが時々あります。実は、そういう方は個人信用情報に原因があるかもしれません。
最近多いのが、「携帯電話の料金の支払い忘れ」によるものです。携帯電話代の支払い遅れがどうして個人信用情報に関係するのでしょうか?今回は、携帯電話代の落とし穴についてお話しします。
携帯電話やスマートフォンの端末料金に注意
皆さん携帯電話を新規で契約したり、機種変更をしたりというのは日常茶飯事だと思います。携帯電話やスマートフォンにはいわゆる端末料金が発生します。
この端末料金の支払い方には2種類あって、一つは購入時に一括で支払う方法、そしてもう一つが分割で支払う方法です。24ヶ月や26ヶ月で支払うというのがスタンダードです。端末料金の分割払いを選んだ場合には、利用者はクレジット会社と「クレジット契約(個別信用購入あっせん契約)」を結びます。その契約に基づいて、クレジット会社は端末料金を立て替えて携帯電話の販売店(携帯電話ショップ・家電量販店など)に支払います。利用者はその立て替えられた端末料金を毎月(決められた月数)返済していく、というのが分割払いの仕組みです。
しかし、携帯電話の場合は一般に携帯電話会社がクレジット会社も兼ねていることが大半です。ですから、端末料金にかかるクレジット会社への返済金は通信料と同時に請求されます。結果的に、月々の携帯電話代金の中に返済金が含まれていることが認識されにくくなっています。
中には「実質負担金0円」と称して販売されている携帯端末もありますが、これはとても注意が必要です。決して端末料金が無料になるわけではなく、端末の返済金と同額が通信量から毎月割引きされているだけなのです。計算上うまく相殺されているだけで、クレジット会社への端末料金を毎月返済していることには変わりありません。
携帯料金を滞納するとどうなる?
利用者の多重債務防止の観点から、クレジット会社には契約申込者の支払い能力調査が義務付けられています。経済産業大臣から指定された「指定信用情報機関」がクレジットやローンなどの支払い状況や債務残高などを一元管理しています。クレジット会社から照会があると「いつ、いくらのローンを組んだか、毎月きちんと支払いが行われているか」という情報が提供されます。
当然、端末の返済金を滞納してしまうとその情報は指定信用情報機関に記録されます。3ヶ月以上返済を遅延した場合は「異動情報」への登録となってしまいます。「異動情報」はいわゆる「ブラック」と呼ばれる金融事故を表しています。一度登録されてしまうと、たとえ完済したとしても5年間は滞納した事実が記録に残ります。こうなってしまうと、将来クレジットカードを作成したり、住宅ローンなどを利用したりする時に支障が出てしまいます。
クレジットカード作成時や住宅ローンの審査時にも、同じように信用情報を照会します。過去の「端末料金を滞納した」記録があると、審査に通らない可能性が非常に高くなるのです。
毎月支払っている携帯料金は通信料だけだと勘違いしていませんか?支払いが厳しいからと言って安易に滞納してしまうと、同時に端末料金の返済金も滞納してしまっています。ローン契約しているものを滞納しているのですから、信用情報に傷がついてしまうのも当然です。
携帯電話のショップや家電量販店では、こうした支払いの仕組みについては詳しく説明してくれないかもしれません。説明を受けていたとしても、ローンを組んでいる認識がない場合がほとんどです。
たった数千円の料金だったとしても、信用情報で「異動情報」として記録されてしまうと大変なことになるのです。
住宅ローンの審査に通らない
住宅ローンの申込みをすると、審査をする保証会社はあなたの個人信用情報を照会します。
ここで上記の「異動情報」が出てきてしまった場合、十中八九「不承認」と言う結果が返ってきます。もちろん、金融機関ごとに審査基準があるのですべての金融機関でアウトというわけではありませんが、審査をする上では非常に重要視されるポイントです。現在どんなに年収があって、支払い能力に不安がなかったとしても、過去のちょっとした支払い忘れ、滞納があると審査が通らずお金を借りることが出来ません。
こうなると残念ながら買うマンションを変えても、借りたい金額を減らしても、審査に通らないのです。
自身の信用情報に不安がある場合は、有料ですが指定情報機関に照会することが可能です。マイホームを買う前も後も、携帯端末代の支払いには十分に気をつけましょう。