中古マンション「重要事項調査報告書」って何?

不動産コラム

中古マンションを購入する際には、事前に確認しておくべき大切な書類があります。それは「重要事項調査報告書(重要事項に係る調査報告書)」です。「重要事項」と聞くと、「不動産の契約前に宅地建物取引士が説明してくれる例の・・・」と思うかもしれませんが、それとは大きく異なります。契約時の重要事項説明書は、「建築に関すること」「法令上の制限や注意」「マンション価格に関すること」などが網羅されています。一方、「重要事項調査報告書」には「そのマンションの管理に特化する内容」が書かれています。

調査報告書には何が書かれている?

まずは、「重要事項報告書」に記載されている項目を見てみましょう。

  • 1:マンション全体の修繕積立金総額
  • 2:管理組合の金融機関からの借入額
  • 3:売却依頼主かの管理費や修繕積立金
  • 4:上記の滞納額
  • 5:共用施設の費用や滞納額
  • 6:管理組合全体の収支(管理費や修繕積立金の滞納額含む)
  • 7:管理費や修繕積立金の増額予定
  • 8:竣工年次や共用部分の修繕実施履歴
  • 9:大規模修繕工事の予定の有無
  • 10:マンションの管理体制
  • 11:共用施設(駐車場やバイク置き場など)の有無やルール
  • 12:アスベスト使用調査や耐震診断実施の有無
  • 13:その他(ペット飼育、フローリング等)

管理と言えばマンションには「管理規約」が存在しており多少内容が被るところもありますが、例えば「滞納額」などは管理規約ではわからない内容です。

中古マンションでは新築時に設立された管理組合が何年か稼働していますので、これまでの活動内容や管理に対する姿勢なども読み取ることが出来ます。

この重要事項調査報告書は、マンションの管理会社が発行します。(数千円~2万円ほど費用がかかります)通常は不動産仲介会社が取得してくれますが、売却する売主が個人で取得することも出来ます。

チェックポイント①

まずはその報告書が発行された日付を確認しましょう。中古物件の場合は売出時期に取り寄せているので、半年以上前の古い内容の場合があります。その期間に滞納額が増えたり新たなトラブルなどが発生していると、反映されていない可能性があります。出来るだけ直近の日付のものが良いでしょう。

チェックポイント②

積立金が順調に貯蓄されているかを確認しましょう。その際には、「長期修繕計画」と照らし合わせることが大事です。大規模修繕工事が終わった直後では当然積み立て金の残高も減っていますが、それ以外で計画と大きな差がある場合は理由を聞きましょう。

チェックポイント③

滞納されている金額を確認しましょう。あなたが購入しようとしているお部屋の現オーナー(売主)の滞納額と、マンション全体の滞納額の二つを確認します。売主に滞納があった場合、買主に請求される可能性もありますし、マンション全体で滞納があると大規模修繕の際に不足が生じ、金融機関から借り入れしなくてはいけなくなります。

実際、修繕積立金の不足により、管理組合が借り入れしているマンションは沢山あります。全ての借り入れのあるマンションがダメな訳ではありませんが、出来るなら借入ゼロのマンションの方が理想的です。

チェックポイント④

管理費や修繕積立金の増額予定を確認しましょう。この費用はランニングコストと呼ばれる部分ですが、修繕積立金は通常は5年スパンくらいで見直しが入り、必要に応じて値上がりしていきます。ただし、その値上げは管理組合総会での決議を経る必要があります。値上げ反対派が多く可決されなければいつまでも現状維持されますので、結果的に修繕工事に必要な金額が積み上がらないままとなります。住宅ローンを合わせて出来るだけ安く抑えたい出費ですが、あまりに安すぎる場合は急な値上げの可能性が高いので注意しましょう。

また、このような段階積み上げ方式ではなく一時機方式を採用している管理組合では、大規模修繕工事に合わせて一時金を徴収することで対応しています。その際には、共有持分に応じて数十万を負担する事になります。予想外の多額の支出は家計を圧迫しますので、ここは慎重に確認しましょう。

チェックポイント⑤

過去にあったトラブル履歴を確認しましょう。トラブルとは天災地変による被害から入居者同士の問題まで含まれます。

近年気象条件が大きく変わっていますので、例えば「ゲリラ豪雨による冠水被害」などが挙げられます。室内への浸水、駐車場での車の被害、機械室などへの被害があったかどうか。また地震や火災による損傷があると、マンション自体の資産価値にも関わります。

購入する部屋がいわゆる事故物件かどうかは管理会社が把握しているはずですので、この欄が「特になし」と記載されていれば安心です。

中古マンションを選ぶときには立地や価格だけでなく、重要事項調査報告書で「入居後の実態」を事前に把握しておきましょう。