マイホームを購入する時に多くの人が利用している住宅ローン。最大35年間(最近では40年や50年ローンもあり)という長い期間のローンを組むことを不安に思っていませんか?
住宅金融支援機構の調査によると、9割超の人が「25年以下」で完済しているというデータがあります。つまり「長く借りて短く返す」、これが住宅ローンの返済のセオリーとも言えます。その方法はズバリ「繰り上げ返済」です!少しでも早く、そして余計な利息を払わずお得に完済することが可能になります。ただし、繰り上げ返済にもよりお得になるタイミングや方法があります。
今回は、繰り上げ返済の効果を最大限に発揮できるテクニックをご紹介します。
繰り上げ返済には2つのタイプがある
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入額の一部(または全部)を前倒しで返済することです。繰り上げ返済に充てる金額は全て「元金部分」ですので、そこにかかるはずの利息をごっそり軽減できるメリットがあります。
繰り上げ返済には2つのタイプがあり、一つ目が完済予定日が前倒しになる「期間短縮型」。二つ目が毎月の返済額が安くなる「返済額軽減型」です。
ところで、この2つのタイプで同じ金額を繰り上げ返済した時に、効果には差があるでしょうか?
例えば当初3,000万円を金利1.5%(元利均等、ボーナス払いなし)で借り入れた場合、5年後に200万円の繰り上げ返済をしたとします。毎月返済は約9.2万円です。
「期間短縮型」では残りの返済期間が30年→27年と3年間の短縮、総返済額は約113万円圧縮となります。一方、「返済額軽減型」では毎月返済額が9.2万円→8.5万円と7千円の減額、総返済額は約49万円圧縮となります。
このように、総返済額で比較するとよりお得なのは「期間短縮型」であることは一目瞭然です。ですが、子供の教育費が掛かる時期などでは毎月返済額が減る方が家計は楽になります。時期によって方法を選ぶことも重要です。
また、複数住宅ローンを組んでいる場合には「より金利が高い方」「借入金額が高い方」「返済期間が長い方」を優先して繰り上げ返済したほうが効果的です。
コツコツ返済とまとめて返済、どちらがお得?
繰り上げ返済はあくまで余剰金があるときにするのがベストですが、「少額でもコツコツ何回も」返済するのと「ある程度まとめてドンと」返済するのとどちらが効果的でしょうか。
先ほどの例と同じ借入のケースで、
①毎年100万円ずつ10年間コツコツ繰り上げ返済した場合
短縮できる期間は12年9ヶ月、節約効果は約412万円
②10年後に1,000万円まとめてドンと繰り上げ返済した場合
短縮できる期間は12年、節約効果は327万円
となります。このようにコツコツ繰り上げ返済した方がより効果が出る結果となりますが、手元にある現金を全て繰り上げ返済に充てるのも少々リスクがあります。突然の病気や怪我、転職や失業などでの減収などに備えておく必要もあるので、貯蓄とのバランスも考えましょう。
いつ繰り上げ返済しても効果は同じ?
繰り上げ返済は、いつしても同じ効果が得られるわけではありません。実は早く実行するほど利息軽減効果が高く、総返済額を減らすことが可能になります。
先ほどの例と同じケースで、色んなタイミングで100万円の繰り上げ返済した場合に減らせる利息を比較してみましょう。
3年後・・・約60万円
5年後・・・約55万円
10年後・・・約44万円
15年後・・・約34万円
20年後・・・約24万円
同じ100万円を注ぎ込んでも、これだけの差が生まれます。これは元利均等返済の特徴とも言えますが、繰り上げ返済によって元金を減らすタイミングが早いほど、その元金にかかるはずだった利息を減らせるからなのです。
繰り上げ返済しやすいサービスがある
繰り上げ返済を重要視するならば、金融機関ごとの「手数料」と「自動繰り上げ返済」の二つをチェックしておきましょう。最近ではネット経由で手続きする場合、手数料は無料となるケースがほとんどです。たまに窓口では手数料がかかるケース、一括で全額繰り上げ返済する際には手数料がかかるケースがありますので要注意です。
また繰り上げ返済を自動的にしてくれるサービスも始まっています。
三井住友信託銀行の「自動返済」サービスは、毎月の返済日に口座にあらかじめ指定した金額以上の残高があると、その余剰分を自動的に繰り上げ返済へ充ててくれます。手数料も無料で、毎回の手続きも不要です。
新生銀行の「自動繰上返済(スマート返済)」では、あらかじめ指定した預金残高を1万円以上上回った際に、上回った金額を1万円以上1円単位で自動的に毎日繰り上げ返済してくれます。もちろん手数料も無料です。
こういったサービスを活用すると、気負わずに繰り上げ返済をすることが出来ます。