住宅を購入する時の親からの援助ー贈与税の特例を上手く使おうー

不動産コラム

「家は一生に一度の大きな買い物」と言われるように、持ち家を購入する時には大きな決断が必要になります。どんなに素敵な物件があっても、どんなにこの家に住みたい!と思っても、お金の話を解決しなければ前には進めません。特に若い世代が子供の教育費の心配をしながら、何千万円というローンを組んで住宅を購入するのは、親からすれば心配しかありません。
子供側は「親に少しでも援助してもらえれば助かる・・・」と思いますし、親は「少しでも支払いを少なくしてやりたい」と思うものです。(もちろん、親は「ない袖は振れない」訳ですが)政府としても、少しでも銀行に預けっぱなしになっている現金を引き出して経済を回したいと考えています。
そうと分かっていても、気になるのが「贈与税」。資金を援助してあげたいけれど、余計な税金が掛かるかも?と躊躇している方は、これからお話する「贈与税の特例」を上手く使って下さい。

住宅取得等資金の非課税の特例とは?

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とは、2015年から2021年までの間に、親や祖父母等から受けた贈与を資金として住宅を取得する等した場合に、法律で定められた非課税限度額まで贈与税を非課税にする、と言う特例です。
贈与者(お金をあげる人)は親や祖父母だけでなく、曽祖父母やさらに上の世代でも構いませんが、配偶者の親や祖父母は認められません。つまり直系尊属と言って、自分より前の世代で直通する系統の親族のことを指します。(養父母も含まれます。)
夫と妻、それぞれの親から資金援助を受ける場合は、夫と妻それぞれがこの特例を利用することが出来ます。この場合は、夫と妻2人の共有名義にすること、夫婦それぞれ確定申告することが必要となります。

いくらまで非課税になる?

特例の非課税限度額は、家屋の種類(省エネ住宅かどうか)、契約締結日(住宅の工事請負契約や売買契約)、消費税率によって異なります。

★消費税8%の期間中

契約締結日 ①省エネ等住宅 ②省エネ等住宅以外の住宅
2015年1月1日〜2015年12月31日 ①1,500万円 ②1,000万円
2016年1月1日〜2020年3月31日 ①1,200万円 ②700万円
2020年4月1日〜2021年3月31日 ①1,000万円 ②500万円
2021年4月1日〜2021年12月31日 ①800万円 ②300万円

★消費税率10%になった後
2019年4月1日〜2020年3月31日 ①3,000万円 ②2,500万円
2020年4月1日〜2021年3月31日 ①1,500万円 ②1,000万円
2021年4月1日〜2021年12月31日 ①1,200万円 ②700万円

この特例と贈与税の基礎控除(年間110万円)は併用出来るので、特例の非課税限度額+110万円の贈与をその年に非課税で受ける事が出来ます。

税金特例は「適用用件」をおさえよう!

この特例を受けることができる受贈者(お金をもらう人)は、次の用件を満たしている人です。
・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。(贈与者は受贈者の直系尊属であること)
・贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。(子供はNG)
・贈与を受けた年の年分のsyほとくぜいに係る合計所得金額が2000万円以下であること。(収入が多い人は対象外)
・平成21年から平成26年分までの贈与税の申告でこの制度の適用を受けていないこと。
・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋を取得したものではないこと。又は、これらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。(お金か住宅か、もらえるのはどちらかだけ)
・贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

※詳細は、国税庁HPをご覧下さい
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

タイミングを間違うと特例が適用されない!

税金の特例は適用用件をきちんと確認する事が大事ですが、「タイミング」を間違うとそれだけで「アウト」になってしまうことがあるのでよくよく注意しなくてはいけません。
特に、この贈与に関しては受ける時期をよく考えましょう。
以下に当てはまる場合は、特例が適用されません!
・贈与を受けた翌年の3月15日までに家屋が出来上がらない(マンションなど工期が長いものは注意)
・贈与を受けた翌年の12月31日までに住んでいない
・住宅ローンの決済後に贈与を受けた(住宅ローンの返済に充てた資金は対象外)
ポイントは、決済(残代金を支払うタイミング、引き渡しなど)の直前のタイミングで贈与を受けることです。

そして当然のことながら、非課税枠にはまっているからと安心せず、期日までに確定申告をすることが必須です!