全期間固定金利の住宅ローンといえば「フラット35」が最も有名です。以前は「住宅金融公庫」という名称で、私たちのマイホーム購入で多くの人が利用してきた実績があります。現在は、独立行政法人住宅金融支援機構に権利義務が引き継がれ、全国の金融機関を窓口として貸し出されています。一般の住宅ローンと大きく違うのは、その財源が国庫であるということです。そのため建築に一定の技術基準が設けられており、より良質な住宅であればさまざまな優遇が受けられる制度となっています。
このたび来年度（2025年度）の改正点が発表となったので、詳しく見てみましょう。
2025年度の改正点は大きく３つ
今回発表となった来年度（2025年度）の改正点は、以下の３項目です。
１：【フラット35】中古プラスが新しく登場します（2025年4月以降 物件検査申請分から）
２：【フラット35】リノベが使いやすくなります（2025年4月以降 物件検査申請分から）
３：【フラット50】の融資対象住宅の範囲が広がります（2025年10月以降 融資実行分から）
中古住宅の取得、そして中古住宅にリフォーム工事を施す場合の融資を中心に、新制度の設立や要件の緩和が準備されています。また、民間でも50年ローンが話題となっていますが、フラットでも50年融資に対して窓口が広がっているようです。ひとつひとつ見てみましょう。
１：【フラット35】中古プラスが新登場
2025年4月以降の物件検査申請分から、良質な中古住宅を取得する場合に「当初5年間 年0.25％の金利引き下げ」が適用となります。物件検査に加えて、目視で確認できる範囲において以下の劣化等がないことを確認します。
≪一戸建て・マンション共通≫
- 天井：仕上げ材の著しい割れ、欠損、剥がれ、腐食、漏水の跡がないこと
- 階段：構造体、踏面の著しい沈み、欠損、腐食等がないこと、手すり等の著しいぐらつき、腐食がないこと
- バルコニー：手すり等の著しいぐらつき、腐食がないこと
- 雨樋：破損がないこと
- 屋外に面する開口部：建具周辺に隙間、建具の著しい開閉不良がないこと、手すり等の著しいぐらつき、腐食がないこと
- 給排水・給湯設備：給排水管の接続部分、トラップ周辺に漏水又は漏水の痕跡がないこと（マンションの場合は専有部分の給排水・給湯設備が対象）
≪マンションのみ≫
- 床：著しい沈み、仕上げ材の割れ、欠損、剥がれがないこと
新設された中古プラスの金利引き下げと、【フラット35】維持保全型（インスペクション実地住宅に限る）の併用はできませんので注意が必要です。
２：【フラット35】リノベが使いやすくなります
2025年4月以降に物件検査申請分から、これまであった金利Aプラン「300万円以上」、金利Bプラン「200万円以上」のリフォーム工事金額要件が撤廃されます。
リフォーム工事代金にかかわらず、Aプランでは「当初5年間 年1.0％」、Bプランでは「当初5年間 年0.5％」の金利引き下げが受けられます。ただし省エネ、耐震、バリアフリー、耐久・可変についての要件に、中古術悪の維持保全に係る措置の要件を満たしていることが条件です。
３：【フラット50】の融資対象住宅の範囲が広がります
2025年10月以降 融資実行分より、返済期間50年の融資対象住宅が下記のとおりとなります。これまでは「長期優良住宅」のみが対象でしたが、「予備認定マンション」「管理計画認定マンション」の2つが加わることになりました。
なお、【フラット50】での借入期間は36年～50年となり、借入金額は100万円以上8,000万円以下です。【フラット35】借換融資を利用する場合の最長返済期間は、「50年－従前の住宅ローンの経過期間」となります。
今年度の改正点を見ると、やはり全国的に増加している中古住宅や空き家の活用の促進を図りたい意図が見えます。また、50年返済についても民間金融機関の動きに追従している印象です。変動金利の上昇が現実味を帯びている昨今、固定金利で安心・安定を得たい方にはより利用しやすくなっています。
転職間もない人や自営業の人など、一般の住宅ローンでは審査が厳しい場合にもフラット35では柔軟に対応してくれます。是非選択肢に入れてみてください。
前述のとおり、【フラット35】の融資の財源は国庫です。そのため、2025年度の予算案については国会の議決を経て正式決定することとなっています。通常であればこのまま予定通り実施となる見込みですが、正式決定は機構HPやフラット35サイトにて発表となります。
詳細は下記URLを参照してください。
