定期借地権の中古マンションは売りにくい?後悔しないために押さえておくポイントとは

不動産コラム

分譲マンションには、建設する土地が「所有権」と「定期借地権」の2種類があるのをご存知でしょうか。

「持ち家として買うのだから、土地も自分のものになるのでは?」と思いますよね。区分所有者全員の共有財産として所有できるのが前者の「所有権」のマンションです。一方の「定期借地権」の土地はあくまで借りもの、一定期間経過すると建物を取り壊して更地にし、返還することが決められている物件です。

定期借地権付きのマンションは所有権物件に比べて価格が安いなどメリットもありますが、将来中古マンションとして売却しようとするとデメリットがいくつかあります。買う時は良かったけど、売りにくい・・・そんな後悔をしないようポイントを押さえておきましょう。

定期借地権の仕組み

まずは土地の権利が「定期借地権」のマンションとは一体どういう物件なのでしょうか。文字通り一定期間土地を借りてマンションを建設し、約束の期限が来たら土地を更地に戻して地主に返還します。マンションの場合の借地期間は「50年以上」が一般的で、更新することはできません。中には70年や75年といったさらに長期間借地できる物件も販売されています。

減価償却を計算する際のマンションの法定耐用年数(実際に居住可能な年数とは違います)は47年なので、決して短い期間とは言えないでしょう。

定期借地権マンションのメリット

定期借地権のマンションでは土地代が物件価格に含まれないため、所有権のマンションよりも2~3割価格が安いと言われます。さらに土地を所有していないので、土地の固定資産税・都市計画税も支払う必要がありません。

定期借地権のマンションは普通では手に入らない都心部や駅近の一等地など、立地面で非常に優れている物件が多いのが特徴です。そんな土地で所有権のマンション販売する場合には価格が非常に高くなりますし、そもそも土地の入手自体が困難なのです。

定期借地権マンションのデメリット

一方でデメリットもあります。土地代が物件価格に反映されない代わりに、毎月「地代」という費用が発生します。借りていることには変わりないので、賃料を支払うのです。管理費や修繕積立金に加えて、毎月のランニングコストが増えることになります。

また、約束の期限が到来するまでに建物を解体する費用も積み立てておく必要があります。

所有権のマンションと定期借地権のマンションで購入を悩んでいる人は、毎月のランニングコストは正確に比較しましょう。

定期借地権マンションが向いている人

いずれは土地を返還することが決まっているマンション、いくら安くても購入して大丈夫でしょうか?

前述したように、コストを抑えて普通では住めないような都心部や好立地で生活したい人、期限付きであっても安く住みたい人、資産価値よりも利便性を重視している人には向いているのです。

特に、財産を残す必要がない=相続を考えなくても良い人には賃貸暮らしを続けるよりもお得になる場合があります。

中古マンションとして売却する場合の注意点

自分たちが住み切るのであればお得に暮らせる定期借地権マンションですが、途中で売却する場合にはどうでしょうか。実は定期借地権の中古マンションは、一般的には売りにくいと言われます。

築年数が進んでしまった場合には、所有できる残存期間も短くなっていきます。定期借地権50年の物件で15年後に売却するとなると、次の買主は35年しか住めません。それでも好立地に少しでも安く住みたいというニーズを持った人がいるかもしれませんが、売却するならば少しでも築浅の方が有利となるのは一目瞭然です。

また、定期借地権マンションでは住宅ローンが組みにくいのも事実です。住宅ローンの審査においては、借入本人の収入や勤続年数、個人信用情報も審査されますが、物件自体の担保評価も重要な項目のひとつだからです。所有権のマンションに比べ、定期借地権マンションは担保価値が低く見られてしまいます。また実際に「定期借地権の場合は不可」とする金融機関も多く、事前にしっかり確認しておくことが必要です。フラット35では一定の条件を満たせば借り入れ可能です。借入期間は、建物の残存期間と借り入れ本人の年齢を比較し、より短い方が適用となりますので注意が必要です。

売却するのならば、とにかく1日でも早く進めましょう。

このように、将来住み替えを前提としている人の場合には定期借地権マンションは少しハードルが高くなります。マンション購入は価格が安いからと飛びつかず、土地権利の特徴をよく理解して選びましょう。