春から秋に急増!マンションからの転落事故を防ぐには

不動産コラム

最近、マンションの高層階や窓からこどもが転落したというニュースをよく見かけます。春から秋にかけては窓を開ける機会が増えることも影響していますが、それ以外にも多くの原因があります。不慮の事故を無くすためには、こどもの特性や行動パターンなどを知り、出来る限りの対応策をしておく必要があります。

こどもの転落事故が多い年齢

0歳児から4歳児の不慮の事故の原因として、1位は「交通事故・窒息」2位が「転落」となっています。(厚生労働省のデータによる)特に歩けるようになる1歳児からは、行動範囲が広がるため転落事故のリスクが急増します。小学校に入学してからは、想像力・理解力が備わってくるため危険を回避できるようになります。未就学児は第一に事故に対する知識や対応能力が不足していること、さらに言語能力も低いため「言い聞かせても理解できない」ジレンマがあります。

また大人よりも格段に視野が狭いため、高所からの距離感が掴みにくい、恐怖を感じにくいといった特徴もあります。

こどもはじっとしていることができず、大人が考えられないような行動を取ることもしばしばあります。ほんの少し大人が目を離した隙に、事故は起こってしまうのです。

窓やバルコニーからの転落事故の原因

高層マンションが増えたため、部屋の窓やバルコニーからの転落事故も相対的に増加しています。

2階以上のバルコニーの手すりの高さは、建築基準法では110センチ以上と決められています。しかし、現実的には110センチでは不十分なため、それ以上に高くする必要があります。中には120センチ以上の基準にしているマンションデベロッパーもあるようですが、大人でさえも何らかの拍子に身を乗り出してしまう可能性もあるので、高いに越したことはありません。

バルコニーの手すりを乗り越えてしまうには、よじ登る「足がかり」が必要です。バルコニーにテーブルや椅子を置いているケースがありますが、こどもが小さいうちはおすすめできません。ガーデニングのプランターや鉢なども同様です。ひもで縛った新聞や段ボールなど、こどもは一時置きしていた資源ごみさえも踏み台にしてしまいます。このような段差があるものはすべて撤去しましょう。

またバルコニーはエアコンの室外機置場としての役割があります。必然的に高さ60~70センチの台が置かれているわけです。室外機と手すりまでの距離は60センチ以上離して設置するようにしましょう。

バルコニーの手すりの形状が、下部がコンクリートの台座で上部が格子状の手すりとなっていることがあります。この場合は、コンクリート部分に足をかけて登れてしまうので注意が必要です。

居室の窓からの転落も同様です。分譲マンションでは予め転落防止の手すりや格子が取り付けられていることもありますが、ベッドやソファ、本棚など、できれば窓の近くに家具を置かないように工夫しましょう。

また窓からの転落の原因のひとつに「網戸」があります。こどもはよく網戸に寄りかかってしまいますが、網戸ごと外れたり破れたりすると事故につながります。定期的に劣化していないかをチェックし、寄りかからないように日頃から注意しましょう。

転落を防ぐ対応策

まずは大人が「バルコニーは事故が起こる場所」という認識を持ち、こどもをバルコニーに出さない工夫が必要です。サッシのクレセント錠は2歳児でも開けられるようになります。手が届かないサッシの上部に「補助錠」を追加するのが有効です。

マンションのセキュリティ設備として、サッシにマグネットセンサーが取り付けられていることがあります。これは本来防犯対策として「外からの侵入」を防ぐ設備ですが、在宅中にも活用することが可能です。ホームセンターなどにも後付けできるマグネットセンサーを販売しています。こどもが開けてしまう可能性がある場所には、取り付けておくのがおすすめです。

マンションに限らず、戸建てでも知らない間に玄関ドアから外へ出てしまうケースがあります。道路に飛び出して交通事故にあう、行方不明になってしまうといった事故も耳にします。玄関にも鍵カバーなどを取り付け、こどもが容易に開錠できない工夫をしましょう。

日頃から「高いところから落ちるとケガをする、命にかかわる」ということを言って聞かせることも重要です。そして決してこどもだけを残して外出しないことを徹底しましょう。ほんの5分・10分だからと油断すると危険です。どれだけ大人が気を付けていてもほんの数分、数秒で事故は起こります。

本来マイホームは家族が安心して生活する場です。家での事故は対策次第で防げます。