マンション購入を考える時、「一体いくら頭金を用意したらいいのか?」を悩みます。また、「頭金」や「自己資金」「手付金」など不動産にまつわるお金の用語がいくつかあり、混乱してしてしまう人もいます。今回はこうしたお金の用語の意味と、準備するべき金額についてお話しします。
住宅購入に必要な資金
あなたが購入しようとしているマンションの価格(消費税込み)が3,000万円だとします。3,000万円をすべて現金で支払えれば問題ありませんが、ほとんどの人が住宅ローンを借入れします。しかし住宅ローンだけで購入するケースはあまりなく、価格の一部を自己資金(現金)で支払います。この、自己資金で支払う分の購入価格のことを「頭金」と呼びます。
例)
2500万円を住宅ローンで借入れ
500万円を現金で支払う
↓
頭金は500万円 となります。
しかし住宅購入のために必要なお金は、これ以外にもあることをご存知でしょうか。
いわゆる「諸費用」と呼ばれる資金です。
代表的なものには、
- 登記費用
- 住宅ローンの事務手数料や保証料
- 印紙代
- マンションの修繕積立基金
- 火災保険料
などがあります。
つまり、住宅ローンを借入せずにすべて現金で購入したとしても、プラスアルファで諸費用が必要となってくるのです。
では実際に頭金はどのくらい用意するのが良いのでしょうか。以前は「頭金は物件価格の2割」程度用意するのが妥当と言われてきました。これは少し古い時代の住宅ローンが「物件価格の8割までを融資限度」としていた背景があります。その慣習から2割程度頭金があると住宅ローンの審査が通りやすいという状況が今も残っています。
また「フラット35 」では頭金を1割用意し、借入が9割までの場合と、10割借入れする場合とでは金利の区分が異なり、頭金を入れた方が金利が安くなります。頭金を準備した方が優遇される制度も少なからず存在しています。
「頭金ゼロ」で買える?
最近では、物件価格の100%まで融資可能な住宅ローンがたくさんあります。収入がしっかりとあれば、住宅ローンの審査を通過して頭金ゼロで購入することも出来るのです。
ただ、その場合には当然ローンの返済金額が上昇します。借入金額が多いということは、金利の負担も大きくなるわけですから、支払い総額(全期間トータルでいくら支払ったか)で考えた時には数百万円もの差に膨れ上がることもあります。
とはいえ相変わらず低金利時代は続いていますので、最初の資金計画の段階で頭金を準備した場合、しなかった場合のシミュレーションを比較しておきましょう。
もう一つ重要なのは、融資割合が大きいと、物件が値下がりしたときのリスクが大きくなるということです。
新築で購入した場合のお話ですが、新築で引き渡しを受けた瞬間からその住宅は中古物件になります。建物は時間の経過とともに減価償却していき、価値が下がっていきます。もちろん市場の動向や経済状況にもよりますが、購入した時よりも何年か後には値下がりするのが通常です。(バブル期には逆の現象が起きていました。)
将来あなたがその物件を売却しようとした時、残っている住宅ローンの金額が売却金額と大きくかけ離れていると、損失が出ることになります。買い替えをする際に、住宅ローンの残債が足かせとなってしまう場合がありますので注意しましょう。
頭金ゼロ=現金ゼロではない
最初にもお話ししましたが、物件価格100%まで住宅ローンで借入れできたとしても、諸費用分の現金が必要になります。
しかし実際には、諸費用まで貸してくれる住宅ローンや諸費用ローンというものが存在します。
住宅購入に必要なお金はすべて借入れ出来る時代になっているのです。もちろんすべてを借入れするとなると審査も厳しくなりますし、支払いも高額になってしまいます。
「預貯金がほとんどなくてもマンションが買える」と思ってしまいますが、実は住宅購入の契約時には「手付金」というお金が必要になります。
契約の際に物件価格の一部を前持って支払うのが手付金です。通常物件価格の1割程度とされています。手付金は解約手付の意味を持っていて、契約後に買主が契約を解除する場合には手付金を放棄、売主が契約を解除する場合には手付金の倍額を返還することになっています。
100%住宅ローンを借入れする予定の人は、引き渡し後に手付金が戻ってきます。つまり100%借入れする人も、契約時にはいくらかの現金が必要になるのです。現金ゼロ円では住宅は買えません。
住宅購入の際には、まだまだ目に見えないお金がかかります。引越し代、エアコン・カーテン・照明などの購入費用も意外とかかります。自宅を売却して新居に引っ越す場合は、仮住まいが必要になることもあります。
住宅購入を考えたら計画的に貯蓄をする、親に資金援助を相談するなどお金に関することをしっかりと話し合っておきましょう。