これはNG?マンションリフォームで可能な工事・不可能な工事を知っておこう

不動産コラム

 分譲マンションを購入して生活していると、ライフステージが変わることで間取りを変更したい、省エネ効率を高めるために窓ガラスやサッシを変えたいなど、いろいろな事情でリフォーム工事を考えます。しかし、分譲マンションでは共用部分と専有部分の区別が厳格に決まっており、共用部分にあたる場所の工事は基本的にNGとされています。今回は具体的な例を見ながら、出来るリフォームと出来ないリフォームをご紹介します。

守らなければいけない法律やルール

分譲マンションは共同住宅です。建築基準法や消防法など、まずは共同住宅として基本的に守らなければならない法律に違反することはできません。そして「区分所有法」という法律に基づいて、マンション管理が行われます。そして管理は「管理規約・使用細則」というマンションごとのルールブックに即して行われます。つまり、

分譲マンションのリフォーム工事は「管理規約」に準じて行うこととなります。一般的に、「施工しても良い工事」「管理組合への届け出が必要な工事」「行ってはならない工事」に大別されることを知っておきましょう。

施工可能な工事とは

分譲マンションでも施工可能なリフォーム工事にはどんなものがあるでしょうか。

  • 壁のクロスを貼り変える・壁にタイルを貼り付ける
  • フローリングを貼り替える
  • トイレの便器やウォシュレットを新しい機種に取り換える
  • 洗面化粧台を新しいものにする
  • 全身が映る大きな鏡を取り付ける
  • 天井にダウンライトを取り付ける

など。

これらは中古マンションなど、新築当時から数年経過した物件で多く行われる工事です。基本的に工事場所は専有部分にあたるため、施工可能な内容です。内装に関わる工事は大体可能ですが、⑤は取り付ける場所に制限があります。例えば隣の住戸との間にあるコンクリート壁に設置したい場合には、穴を開けてネジを打ち込むという工事はできません。境界壁は共用部分にあたり、傷をつけることは不可能です。⑥の工事も二重天井になっている必要があり、共用部分であるコンクリートの天井には穴を開けて配線することは不可能です。

工事可能かどうかの判断基準は、「専有部分であること」「工事可能な構造であること」が必須となります。

管理規約で禁止されている工事

反対に、やってはいけないリフォーム工事にはどんなものがあるでしょうか。

  • 「玄関ドアが古くなった、デザインも違うものに取り替えたい」

これは残念ながら認められません。玄関ドアは部屋の入口なので一見専有部分に思えますが、共用部分となります。外観を統一するという観点からも、個人的に変更することは認められていません。

  • 「西向きの窓にUVカットフィルムを貼りたい」

多くの分譲マンションでは玄関ドアと同様、サッシや窓ガラスも共用部分にあたります。場合によっては認められるケースもあるので、管理組合に確認する必要があります。

  • 「二重窓にして断熱性能を高めたい」

二重窓というと、複層ガラスと混同する人がいますが全くの別物です。二重窓とは、従来のサッシ窓の内側に樹脂製の窓を新たに取り付ける工事です。LIXILのインプラス・YKKのプラマードUなどの商品がありますが、防音や断熱性能を高め、結露防止の効果があります。設置場所は専有部分になるため、施工できる工事です。

一方の複層ガラスはサッシそのものを入れ替える工事となり、さらに性能が向上するため管理組合とのトラブルに発展する可能性があります。注意しましょう。

  • 「バルコニーにサンルームを作りたい」

バルコニーも共用部分となるので、新たな設備を取り付けることは不可能です。部屋の一部ではないの?と思いがちですが、「専用使用権」(特定の区分所有者が利用可能)が認められているにすぎません。玄関ドアと同様に外観に関わりますし、非常時の避難経路となっている場合も多いので、専有部分の続きとなるようなリフォームは出来ません。

  • 「ルーフバルコニーで家庭菜園をしたい」

ルーフバルコニーも当然共用部分です。大量の土を持ち込んで畑などを作ることは禁止されています。プランターなど持ち運びできる容器での栽培にとどめておきましょう。

  • 「隣に住んでいる親の部屋と行き来できるよう、壁を壊してドアを取り付けたい」

隣の住戸に住んでいるのが親族であったとしても、戸境壁を壊して繋げるといった工事は不可能です。また、上下階で階段を取り付けてメゾネット形式に変更する工事も出来ません。二世帯住宅のマンション版としてこういった工事が出来れば理想ですが、共用部分に手を加えることは禁止されています。

フローリングを貼り変える工事などは可能ですが、資材の搬入や工事の音などで迷惑をかけることも予想されます。管理規約で「工事を行う〇日前までに管理組合に届け出を行い、理事長の許可を得ること」といった規則になっているケースがあります。しっかりと管理規約を確認し、トラブルにならないようルールを遵守しましょう。