日銀が利上げを発表!住宅ローン金利は今後どうなる?

不動産コラム

日銀の黒田総裁が12月20日の記者会見で利上げの発表をしました。このニュースが大きく取り上げられると、住宅ローンの金利も上がるのでは?と多くの方が不安になっています。現在住宅ローンを支払っている方はもちろん、これからマイホーム購入を考えている方にとっても、金利の動向は最大の関心事です。今後の住宅ローン金利への影響を考えてみましょう。

記者会見の内容を正しく理解しよう

まずは、黒田総裁が語った「利上げ」について正しく理解しましょう。今回の記者会見で発表されたのは、「金利政策決定会合において、これまで0.25% 程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する」というものでした。これは事実上の利上げとなります。

今回の利上げに踏み切った背景には、現在の日本の歴史的なインフレがあります。ここ30年、消費税が新設もしくは増税された時にしか上がらなかった物価が急上昇しています。海外では中央銀行が一斉に金利を引き上げていく中、日本は徹底して低金利政策を貫いてきました。その結果、金利の高い海外の通貨が買われどんどん円安に、そして輸入物価の上昇を招きました。日常生活の中でも物価上昇の波は、皆さん感じていると思います。

住宅ローン金利の仕組み

こうした金利政策が住宅ローンへどう影響するのかを解説します。まず、銀行は金融市場から資金を調達します。そこに利鞘を乗せて、住宅ローンとしてエンドユーザーに貸し出します。この市場からの調達の際、金利を低く抑えようという政策が長らくの間行われてきました。今回、この調達金利が上がるということなので、結果的に住宅ローンの金利も上がるという構図になっているのです。

さらに変動金利と固定金利の決められ方には違いがあります。まず変動金利は、1年以下の短期金利を元に決められています。そして現在、短期金利は日銀のマイナス金利政策によって低く抑え付けられて入る状態です。

一方の固定金利は、10年くらいの長期金利を元に決められています。そしてこちらはイールドカーブコントロールという別の政策で低く抑えられています。

今回の発表で利上げが決まったのがまさにこの部分で、イールドカーブコントロールによって0.25%程度に抑えられていた金利を、0.5%程度まで上げてもいいという緩和へ踏み切ったわけです。

金利はどうなる?

このように、今回の利上げの対象は「長期金利」であることがお分かりいただいたでしょうか。恐らく来年1月の固定金利は上昇することが予想されます。

実際、今年に入ってからのフラット35の金利は1月に1.3%だったのが12月には1.65%まで上昇しています。ここで過去のフラット35の金利実績を見て見ましょう。

実は2003年には、3.17%という今では考えられない金利でした。その2年後の2005年には2.15%と1%もの差をつけます。2008年ごろは3%前後を推移し、2012年には1.8%まで下げました。そして2013年には黒田バズーカと呼ばれた長期金利を抑える政策によって、固定金利までも非常に低く抑えられる時期に突入します。2016年8月には史上最低金利0.9%を記録したのは、記憶に残っている方も多いでしょう。このようにフラット35は、思った以上に金利の上げ下げがあったのです。今年1年で0.35%の差はものすごく上昇しているように見えますが、過去の実績を見ればさほど驚く状況ではないことが分かります。

一方、変動金利についての政策は変更されていません。変動金利はまだしばらくの間上昇するとは考えにくく、このままの低水準を保つと思われます。

今後の対応はどうすればいい?

今回の利上げによって住宅ローンの変動金利が大きく動くことはなさそう、とは言っても万が一の時に備えておくことは重要です。

まずこれから住宅ローンを組む方は、しっかり銀行の比較を行いましょう。住宅ローンを取り扱う銀行は、都市銀行、地方銀行、ネット銀行、と多岐にわたります。フラット35はモーゲージバンクと呼ばれる店舗を持たない金融機関でも取り扱います。地方銀行以外は全国共通、同じ条件で利用できますし、地方銀行はエリアならではのサービスを提供しています。多くの銀行があるということは、金利にもばらつきがあります。金利比較サイトなどを利用して、幅広く検討することをおすすめします。

そして現在住宅ローンを支払い中の方も含め、重要なのは貯蓄と運用を行うことです。例えば固定金利で支払っているつもりで、月数万円でも貯蓄に回したりそれを運用に回せば、長期間では大きく差がつきます。そのためには、ギリギリの資金計画で借入れしないことがポイントとなります。何かあっても対応出来る余裕を持って、マイホームを購入しましょう。