住宅ローンを組むなら若いうちが良い!と言われる訳

不動産コラム

マイホーム購入には多額の資金が必要です。現金で一括購入できれば一番ですが、ほとんどの人が住宅ローンを借りて購入するのが実態です。住宅ローンはいつでも同じ条件で借りられるわけではなく、タイミングによっては有利にも不利にもなります。「借りるなら若いうちの方がいい」とよく言われますが、その理由について解説します。

年齢制限と返済期間

住宅ローンには借り入れできる年齢制限と返済期間があります。

まず年齢制限に関しては多くの金融機関が「20歳以上70歳未満」としています。民法の改正で成人年齢が引き下げられたことを受けて「18歳以上」に変更されることになりましたが、実際には各金融機関の判断となります。収入面や勤続年数など、他の審査基準を満たしている必要もあるのでかなり厳しめと考えましょう。

これに「完済年齢」の制限が加わります。「完済年齢80歳未満」とされている金融機関の場合、最長35年で借り入れできる年齢は44歳までとなります。一般的に45歳を超えると34年、33年と少しずつ借り入れ可能期間が短縮されていきます。

同じ金額を借り入れしても、返済年数によって返済金額が変わるのはご存知ですね。35年返済と30年返済とでは、当然30年返済の方が返済金額は高くなります。例えば4,000万円を利率0.5%(ボーナス払いなし)で借り入れた場合、

35年返済 103,834円

30年返済 119,675円

月々15,841円、1年間で190,092円もの差になります。このように資金計画にダイレクトに影響するのが「返済期間」です。「45歳」というボーダーラインを覚えておきましょう。

団体信用生命保険にも期限がある

住宅ローンの審査には2つの関門があります。ひとつは金融機関の審査で、年収や勤続年数、家族構成などで返済計画が基準内に収まっているかどうかを判断されます。

もうひとつは生命保険会社の審査です。住宅ローンは「団体信用生命保険」への加入が必須とされています。これは借入申込人に万が一のことがあった際に、保険会社が住宅ローンの返済を肩代わり(弁済)するシステムです。金融機関は保険会社の後ろ盾があるからこそ、安心して貸し出しが出来るというわけです。

そしてこの「団体信用生命保険」は誰もが加入できるものではありません。一般的な生命保険に加入するときと同様、「告知書」という書類を提出して保険会社の審査を受けます。ケガや病気の履歴がなく、現在治療中の疾患などが無ければ、問題なく保険に加入することができます。しかし、中には「謝絶」(否決)という結果が出されてしまう方もいらっしゃいます。「死亡リスクが高い」と判断されてしまうと、団体信用生命保険への加入が出来ないのです。告知しなくてはならなのは「過去3年間」についての病歴です。完治して3年以上経過していれば、告知義務はありません。高齢になればなるほど様々な病気リスクが高まるため、健康な若いうちに住宅ローンを借入する必要が有利なのです。

また、最近よく聞く「ガン保障付き」の団体信用生命保険は、「ガンと診断された場合に(一定の条件あり)、残りの住宅ローンが0円(もしくは50%)」になるというものです。日本人の2人に1人がかかると言われる「ガン」ですが、早期発見できれば延命率も高くなっている昨今、この保障をつける人も増加しています。ただ、このガン保障付きの団体信用生命保険に加入できるのは「50歳未満」のケースがほとんどなのです。ほかにも「〇大疾病保障付き」(3大疾病、8大疾病など保障の範囲が違う商品)という保険もありますが、同様に加入できる年齢制限があります。

団体信用生命保険の側面からも、若いうちに加入しておいた方が断然有利というわけです。

中にはフラット35のように「団信加入なし」でも借り入れできる住宅ローンもあります。しかし、これは万が一の時には残された家族が返済を継続しなくてはならず、潤沢な預貯金があるか、他の生命保険などで補填するなど準備が必要ですので慎重に判断しましょう。

定年間近で住宅ローンは借りられる?

会社員や公務員で社宅住まいをしていた人が、定年を機にマイホームを購入するケースがあります。そういう方は大抵、50代になっています。まだまだ年齢制限にも引っかからず、25年~30年の返済期間で申し込むことが可能です。また申し込み時点では役職もあり、かなりの年収を得ている人も多いでしょう。しかし、実際には金融機関はかなりシビアな審査を行います。それは「あと何年、この年収が得られるか?」という目線で見るからです。現在は問題なくでも「定年後はどうやって返済していく計画なのか?」を重視するのです。自己資金をしっかりと準備し、必要金額の半分くらいを借り入れするなど余裕のある資金計画である必要があります。「いざという時には退職金で支払えるから大丈夫」という方も多いですが、退職金は老後の生活資金にもなります。充てるとしても一部にとどめておいた方が良いでしょう。

ある程度年齢を重ねた人が住宅ローンを借入する場合には、しっかりと自己資金を準備することが重要です。

住宅ローンを借りるなら若い方が良いと言われる理由はお分かりいただけただでしょうか。もちろん若すぎると「まだ年収が低く、勤続年数も短い」といった不利な面もありますが、「もっと早く買っておけばよかった」と後悔だけはしないよう、タイミングを見極めましょう。