ローン本申込後に「育児休暇」承認は取り消される?銀行が嫌うNG行動とは

不動産コラム

新築マンションの場合には、販売が始まってから建物が竣工するまでに1年以上かかることがあります。大規模物件やタワーマンションの場合には2年以上先になることも。住宅ローンを借入する場合には本申込を済ませ、融資承認を取り付けた後にしばらく時間が空いてしまうことがあります。この期間に「育児休暇」に入ってしまった場合、住宅ローンの承認に何か影響が出てしまうことがあるのでしょうか?今回は、住宅ローン本申込の承認後に何らかの変更があった場合の注意点についてお話しします。

ローンの審査後に銀行が嫌がる行動とは

住宅ローンの申し込み手続きは、まず仮審査をしてから本審査(本申込)に進みます。本審査の際には、収入に関する公的な資料や住民票などを提出し本格的な審査を行います。その審査を無事に通過したのであれば、よほどのことがない限り結果が覆ることはありません。新築マンションで融資実行が少し先になる場合でも、承認はそのまま有効となります。

あなた自身の状況にも大きな変化がなく、申し込みをした時点と何ら変わりがなければ問題ありません。しかし、場合によっては銀行が一番嫌がる行動をしてしまうケースがあります。

それは「転職・退職」です。

退職してしまうと見込んでいたこれまでの収入がなくなり、ローンの返済能力が失われてしまいます。独立して事業を始めるのも、先行き不透明なため嫌がられます。また、転職の場合も大きく収入がダウンする可能性もあり、返済能力に疑問符が付きます。ヘッドハンティングや収入増加が約束されていたとしても、それを証明する書類が提出できないため銀行は非常にナーバスになります。もしも、融資実行までに転職・退職が判明した場合には、最悪承認の取り消しになってしまいます。また、再審査となった場合には融資金額が減額となることも考えられ、資金計画が大きく狂ってしまいます。

もう一つ銀行が嫌がるのが「別のローンを借りる」ことです。大きな買い物をして分割払いをしたり、車を購入してマイカーローンを組んでしまうのはNG行動です。

その他にも収入合算やペアローンを組むはずだったのに離婚する等、家族構成が大きく変わるのも再審査の対象となります。

育児休暇に入ってしまったら?

育児休暇を女性が取得する場合には、ほとんどの方が1年くらいを予定されると思います。もしも本審査を受けた時点で育児休暇を取得していたのであれば、銀行もそれを織り込み済みで承認結果を出しているので問題ありません。銀行によって差はありますが、復職予定であることや復職時期、復職後の収入見込みなどの審査基準があるはずです。

問題は、本審査で承認を得てから育児休暇に入るケースです。この場合には再審査となる可能性が非常に高いと言えるでしょう。育児休暇に入ったとしても融資実行までに復職していれば銀行が気づかないケースもありますが、在籍確認をした際に育児休暇中であることが判明すれば何らかのアプローチがあるかもしれません。

休暇中の年収はフルで働いていた時よりも少なくなるケースが多いので、銀行によっては当初よりも借入金額を減らされることもあります。銀行が「それは聞いていなかった」と判断すると、予定していた金額が借りられないこともあるのです。

その結果、減額になった分を自己資金で補う、ペアローンの相手が増額して借入するなどの対策ができない場合には契約を解除しなくてはなりません。

このケースでは、契約解除の理由はあくまでも「自己都合」となってしまいます。契約時に支払っていた手付金は放棄することになります。

物件も買えない、手付金も没収されるとなるとダメージは大きくなります。

あらかじめ銀行に相談を

転職や育児休暇は、黙っていればバレないのでは?と思いがちですが、残念ながら手続の中で判明してしまうことが多いのです。

まず、銀行とのローン契約(金銭消費貸借契約)の際には、健康保険証を提示することが大半です。ここで勤務先が変わっていると保険証も変わっているので100%気付かれます。

また、同じように契約時に住民票を提出する場合には家族が増えていることが判明します。

一番困るのは、融資実行の直前の契約時に重大な変化が判明し、融資が受けられなくなることです。早めに相談していれば、再審査となったとしても然るべき手続きを経て、問題なく進めることもあるのです。

とにかく銀行は「聞いていない事実が判明する」ことを嫌います。育児休暇中でも住宅ローンが借りられないことはありません。家族が増える可能性がある場合には事前に銀行とよく相談し、準備をしておくことが重要です。

もしくはリスクを避けるために、引き渡しまで短期間で進められる中古マンションや竣工が近いマンションを探すことをお勧めします。