分譲マンション特有の駐車場事情とは? 

不動産コラム

戸建住宅と違って、分譲マンションの駐車場にはさまざまな形態があります。また、マンションによっては住戸の数より少ない台数しか設置していなかったりします。特に都心部のマンションでは近年設置率(住戸数に対する駐車場台数の比率)が下がってきているというデータもあります。車を所有している人にとっては「駐車場を確保できること」も、物件探しの大きな鍵となります。今回は、分譲マンションならではの駐車場事情をお話しします。

みんなが車を持っている時代は終わり?

一家に一台必ず車がある、家には必ず駐車場が必要・・・そんな時代ではなくなってきているのかもしれません。最近は若者の車離れも話題になります。分譲マンションでは必ず駐車場を作らなくてはならない、実は建築基準法にはそのような定めはなく、自治体の条例によって面積に応じた設置率が定められています。

設置率100%のマンションでは1住戸につき1台は確保できると考えられます。100%を超えていれば2台の駐車も可能になり、逆に100%を切ると車を置けない人が出てくる、ということになります。特に交通網が発達している都心部ではマイカーを持たなくても移動が簡単なため、設置率は100%を大きく下回ることが多くなります。

駐車場の形式もいろいろ

駐車場と一言で言っても分譲マンションの駐車場にはさまざまな形態があります。

平面駐車場は「平置き」とも言われ、平地で舗装してある駐車場です。ほとんどが屋外になり、マンションの建物1階部分など屋根の下に設置する場合もあります。平面駐車場は、広大な敷地が必要となるため大規模物件でよく見られます。車の車高を気にすることなく置けるのがメリットですが、屋外だと汚れやすくなります。また、位置によってはエントランスまで遠くなることも。管理の上では、メンテナンスはほとんど必要ありません。

自走式駐車場とは、よくショッピングセンターや家電量販店で見かける駐車場だけの建物です。スロープを登ってフロアを上がっていくスタイルで、平面駐車場と同様平置きになります。屋上以外は屋根付きとなり、雨や汚れを避けることができます。駐車場だけの建物を建築することになるので、ある程度の敷地も必要となります。また上層階へ駐車する場合には時間がかかることもあります。

機械式駐車場は、マンションならではの設備といえます。タワー式、パレット式などいくつか種類がありますが、狭い敷地面積を一番有効に活用できます。専用の鍵を持っていないと操作できないため、いたずらや盗難に遭う確率は低くなります。操作に一定の時間がかかるため、頻繁に車を出し入れする人には少々使いにくいかもしれません。メンテナンスは必須なので、管理や点検のための予算が必要になります。

駐車場は借りる?買う?

駐車場にも分譲・賃貸の2種類があります。専有部分と同じように、駐車場区画も購入するタイプは非常に少ないのですが、代金がかかること、専有部分と同じく登記が必要で固定資産税などもかかってきます。

一方の賃貸形式は、管理組合から借りている状態となります。共用部分を月額いくらで使用させてもらうという考え方です。使用料は管理組合の収入となり、ほとんどの分譲マンションではこのスタイルをとっています。

使用場所は新築時に抽選で決められるのですが、途中で部屋を売却したり賃貸に出す場合、使用していた駐車場は一旦管理組合に返すことになっている管理規約が多いはずです。賃貸人を募集する際や売却時に「駐車場有り」としてしまうと、トラブルになるので要注意です。管理規約に細かくルールが定められていますので、購入時や売却時にはきちんと確認しておきましょう。

マイカーを手放す人も多い

高齢のため免許を返納する人も多くいらっしゃいます。新築時には満車だった駐車場も空きスペースが多くなった、そんなマンションも沢山あります。そうなると、見込んでいた駐車場使用料が入らなくなり、管理費の収支を見直さなくてはならないケースも出てきます。

最近では、駐車場を設置する代わりに「カーシェア」を導入しているマンションも。必要な時だけ借りるスタイルで、毎月の使用料やガソリン代・税金などランニングコストを格段に下げられます。また、レンタカーサービスを導入しているマンションでは、店舗まで出向かなくても車を持ってきてもらえます。鍵のやり取りは宅配ボックスを利用するため完全非対面でレンタカーを借りることができ、注目されている方法です。

交通の利便性が良いマンションであれば、マイカーを手放すことも一つの選択肢として考えられるのではないでしょうか。マンション選びのポイントになっていた駐車場問題も、新しい仕組みを利用することで解決できるかもしれません。