頭金なしで今?頭金を貯めてから?−マイホーム購入のタイミング−

不動産コラム

住宅を購入しようとした時に、「頭金」をどれだけ用意するかを悩む人はとても多いです。同時に「頭金なしで今」買うか、「5~7年後1500万円貯めてから」買うかという「時期」の問題もあります。ライフプラン全般で考えると、住宅購入というのはとても大きなウエイトを占めるイベントとなります。購入するタイミングと頭金の準備によってどのような違いが生まれるかを考えてみたいと思います。

一例として現在28歳の共働き夫婦をモデルケースとして「28歳、頭金なしで今買う」場合と「7年後に35歳で1500万円頭金を貯めてから買う」場合を比較してみます。

今すぐ購入する場合のメリット・デメリット

まずは「今すぐ28歳で購入する場合」を考えてみます。

【メリット】

  • 20代のうちから希望する家に住むことが出来る
  • 今の低金利が適用されるので、返済計画が立て易い
  • 返済が早く終わる(概ね定年までに完済できる見通し)

【デメリット】

  • 頭金が少ないため、借入れ金額が多くなる
  • それに伴い、金利負担が大きくなる
  • 年収が低いと、借入れ限度額が低くなる→買える家の価格が低くなる
  • 今後の家族構成の変化によって、住みたい場所や間取りが変わる可能性がある
  • 夫婦の働き方や収入の変化により、返済計画が変わる可能性がある

7年後の35歳で購入する場合のメリット・デメリット

次に「7年後の35歳で購入する」場合です。頭金が1500万円貯金出来たこととします。

【メリット】

  • 頭金をしっかりと入れられることで、借入れ金額が下がり金利負担も減る
  • その時の家族構成や仕事の状況に合わせた物件から選ぶことができる

【デメリット】

  • 計画的に繰上げ返済をしていかないと、定年後も住宅ローン返済が残る
  • 今よりも住宅ローンの金利が上がっている可能性がある
  • 今より物件価格の相場が上がっている可能性がある
  • 買いたいと思う物件に出会うまで時間が掛かってしまうことがある→購入時の年齢がさらに上ってしまう

金利負担の差はどのくらいになるか?

上記のパターンで、実際に金利負担がどのくらい変化するかをシミュレーションしてみましょう。

4500万円の物件をフラット35 (固定金利)で借入れしたとします。

【パターンA】28歳頭金なし

  • 借入れ金額:4500万円
  • 金利:1.3%
  • 借入れ期間:35年
  • 毎月返済額:133,416円
  • 総返済額:56,035,132円
  • 利息負担:11,035,132円

【パターンB】35歳頭金1500万円

  • 借入れ金額:3000万円
  • 金利:1.3%
  • 借入れ期間:35年
  • 毎月返済額:88,944円
  • 総返済額:37,356,755円
  • 利息負担:7,356,755円

頭金を入れた場合と入れない場合を単純に比較すると、金利負担の差額は約370万円となります。この部分だけを見れば、頭金を入れたほうがメリットが大きいという結果になります。

貯金する7年間の住居費を忘れずに

しかしながら、頭金を貯金している期間、7年の間は賃貸住宅に住まなくてはなりません。つまり7年間の家賃負担額、仮に月5万円の家賃と仮定すると年間60万円、7年で420万円が必要となります。

購入した場合には、賃貸時代には必要のなかった「固定資産税」などの負担もありますので簡単に比較はできませんが、せっかく貯蓄に励んで生まれた370万円もの差が帳消しとなってしまいました。

金利が上昇してしまうと頭金の効果が無しに?

また、上記では7年後も金利が変わらなかったものとしてシミュレーションしています。ちなみに今回の比較では、金利が0.6%アップしてしまうと頭金を入れた効果を相殺してしまいます。

【パターンC】35歳頭金1500万円、金利が0.6%上昇した場合

  • 借入れ金額:3000万円
  • 金利:1.9%
  • 借入れ期間:35年
  • 毎月返済額:97,846円
  • 総返済額:41,095,387円
  • 利息負担:11,095,387円

家賃負担と合わせると、1500万円相当になってしまいます。

同じように、7年後には物件そのものの価格が上昇している可能性もあります。地域差や世の中の経済情勢にも左右されますが、現在組み立てている資金計画では、希望する広さの家が手に入らない可能性もあるということです。

あなたにとってのベストタイミングとは

マイホームを考えるタイミングは人それぞれですが、希望するエリアにあなたにぴったりな物件が現れ、あなたの経済状況に条件が見合った時がベストと言えます。

全く考えていなかったのに、偶然入ったモデルルームで本気になる人もいますが、「いつかは」と漠然とイメージしているならば少しでも頭金を準備しておく方がお勧めです。