住宅ローンはいつ借りるのがベスト?−年代別ポイント−

不動産コラム

住宅ローンは最長で35年間返済という長丁場。理想としては「定年までに完済する」ことを目標にされる方が多いですが、そうなると住宅ローンを組むのが30歳くらいまで・・・となります。これまでは60歳で定年退職が当たり前の時代だったので単純に計算するとそうなるのですが、最近では一旦退職金をもらってから65歳まで再雇用される企業も増えてきました。ただし、再雇用となるとこれまでのような収入は期待できません。やはり60歳くらいでいったん家計収入は頭打ちとなります。今回は、住宅ローンをスタートする年代別にポイントをお話しします。

【20代】独身または、子どもは誕生前か乳幼児期

マイホームを考え始める人の多くが結婚を機に「賃貸だと家賃がもったいない」と購入へ踏み切る、もしくは将来の資産形成を兼ねて1R~1LDKタイプを独身のうちに購入するケースが多いのが20代。

住宅ローン借入れの最大のメリットは、最長35年借入れても定年までに支払いが終わることです。最長期間で組めれば毎月の返済額を低減することもでき、繰上げ返済もしながら教育費や老後の生活費の貯蓄もしやすくなります。

ただし、普通に支払いを続けても定年までに完済できるとなると、結果的に支払い利息を多く負担することになります。

また、年齢が若いとまだ年収が低い場合も多く、借り入れできる金額はあまり伸びないかもしれません。自身が若ければまだまだ親御さんも現役世代なので、資金援助や親子リレーで力を借りやすい側面もあります。新婚さんの場合、結婚や出産を機に妻が退職したり収入が減ることも予想出来ます。収入合算やペアローンを組む場合は、世帯収入の変化を視野に入れましょう。

なお、独身時代に投資用でマンションを購入した場合には、結婚後にマイホームを購入した時の住宅ローンが二重になってしまいます。賃貸で回していたとしても銀行は「借入れ」と見なします。将来、思うような金額が借入れできないケースもありますのでリスクを十分に理解しておきましょう。

【30代】子どもは幼稚園~小学生。年収は増えるが子どもの教育費で出費が増え始める

会社員であれば、入社10年を超えて収入も増えてくる年代。実際にマイホームを購入する年代のピークは30代だという統計もあります。ギリギリ定年までに住宅ローンも終わらせられそうな予測がつきますし、共働きであれば世帯年収もしっかりとあるので繰上げ返済も含めた長期的な計画が立てられます。

ただし、「何とかなる」と背伸びした金額を借入れてしまうと、教育費などの支出が増えた時に早期に破綻するケースもあります。年収から計算した借入れ可能金額目一杯までローンを組むと、万が一の時に支払えなくなるので、プラスで貯蓄も可能な支払額に抑えることがポイントになります。

【40代】子どもの教育費がピークに差し掛かる。夫婦の老後も考え始める。

一般的に家族の構成が決まり、家計収支のコントロールがしやすくなる時期。これまでの貯蓄をある程度頭金に回すことも可能な世代ですが、子どもが高校~大学受験などの年代になると教育費はピークになります。県外の大学に進学するとなると、仕送りなどの費用も必要になり家計のやりくりが大変になります。さらに自分達の老後の生活費の貯蓄もする必要がありますので、かなり家計支出を制限しないと生活が成り立たなくなってしまいます。

この年代では子どもに手が掛からなくなるので、離職していた妻が再度収入を得やすくなります。世帯収入を増やす努力が必要です。また45歳を境に、最長の35年間の借入が出来なくなります。働き盛りの世代なので、健康に問題が出てきやすい世代でもあります。団体信用生命保険を考えると、健康なうちに住宅ローンを組むのも一つです。

【50代】子どもの教育費の支出がピーク~子どもが独立する。老後の生活資金を準備。

50代で住宅ローンを開始するには、正直なところ厳しくなってきます。銀行の審査的には「完済年齢までの期間が短い」ことと「定年後の返済計画」を重要視するからです。また、団体信用生命保険の審査においても、50歳を超えると「ガン特約」が付保できなくなる銀行がほとんどです。

もしも住宅ローンを組むのであれば、定年までに完済できるしっかりとした計画があること、老後の生活資金が枯渇しないだけの貯蓄が必要になります。

また、突然親御さんの介護が必要になることもあります。親元に帰らなくてはならなくなったり、長期休暇を取得しなくてはならないことも。この年代で新規の住宅ローンを始めるのは相当なリスクがあると考えましょう。

住宅ローンは当然ながら借りたら返さなくてはなりません。出来るだけ早く始めれば早く終わりもやってきますが、どの年代でもメリットとデメリットがあります。マイホーム購入はライフプランを考えることそのものです。常に最悪の事態も想定して、無理のない借入れをしましょう。