マンションの「管理組合」ってどんな組織?

不動産コラム

「分譲マンションを購入すると管理組合に入らなくてはいけないと聞きますが、これって必須なんですか?」という質問をいただく事があります。「組合」と聞くと会社の労働組合みたいなイメージがありますが、マンションの管理組合はそういったものとは全く違う性質を持っています。

今回はマンションの管理組合の役割についてお話しします。

法律上、当然に成立するのが管理組合

まず、分譲マンションが関係する法律が「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」です。この法律には、分譲マンション全般について権利関係や管理運営の原則が定められています。

マンションの購入契約を結び、住戸の引き渡しを受けて区分所有関係が生まれた時から、管理組合は法律上当然に成立するものなのです。すなわち、管理組合とは区分所有者の団体というわけです。区分所有者(マンション住戸、店舗、事務所部分の所有者)は意思にかかわらず管理組合員となります。「組合に入りたくない」といった個人的な要望は通じません。

マンションの資産価値と居住環境を守るための機関、つまり管理組合なしではマンションの暮らしそのものが存続しません。

「自分たちによる、自分たちのための管理組合」なのですね。

管理組合の目的は大きく3つ

では、入居全員による管理組合という団体には一体どんな役割があるのでしょうか。

一つ目は「利用価値を高めるマンション維持」です。

建物の共有部分と敷地、附属施設の価値を低下させずに維持する必要があります。

具体的には、下記の項目が挙げられます。

  • 建物の日常的な維持のための点検や修繕
  • 長期的な建物の価値の保全(外壁の全面塗装、屋根やバルコニー防水の補修、給排水管の更生や更新、エレベーターの保守点検、修理等)
  • 長期修繕計画の作成または変更に関する業務(長期修繕計画の策定、修繕積立金の徴収、保管など)
  • 上記に対する予算案作成

次に「日常の生活環境の維持、整備」です。なるべく新築当初の綺麗な状態を維持し、日々の居住環境を良好に保つための活動が必要になります。

  • 共有部分の清掃業務、設備点検業務
  • 管理費、修繕積立金、その他の使用料の収納、保管、支払い
  • 共有部分等に関わる火災保険その他の損害保険に関する業務

最後に「安全で快適な共同生活のための環境提供」です。

マンションは当然ながら大勢の家族が入居する集合住宅です。集合住宅ならではの生活に関するルールを定め居住者間のトラブルを調整し、円滑なコミュニケーションを形成していきます。

  • 暮らしの情報の提供
  • 共用施設(駐車場や集会室等)の運営方法の策定

分譲マンションでは基本的に「管理規約」というルールブックが存在しており、その規則に従って生活しなくてはなりません。規約に則って注意喚起をしたり、長い間にはより住みやすくするための規約の変更も管理組合で行うことがあります。

管理組合と自治会の違い

よく聞く住民の組織には「自治会」があります。どちらかというと、自治会の方が馴染みがあるかもしれません。

この自治会とも、管理組合は違った性格を持っています。

「管理組合」は区分所有法に基づいて、区分所有者の共有財産(共有部分)の維持・管理や修繕などの財産管理を中心に、生活上のルール全般を課題としています。管理規約に基づき区分所有者は全員「組合員」となります。

一方の「自治会」とは、マンション居住者(賃貸人を含む)によって組織され、地域の住民のコミュニケーションを図り、生活改善のための活動などを行うものです。

分譲マンションを賃貸住宅として貸し出した場合、入居者は区分所有者とは異なります。また、誰も住んでおらず空き家になっているケースもあるでしょう。このように区分所有者が居住していない場合でも、その所有者は管理組合員となります。

区分所有者は常に管理組合の構成員であり、管理組合の運営に参加する義務があります。

「自分は住んでいないから関係ない」というわけにはいかないのです。

このように分譲マンションへの入居と管理組合は、切っても切れない関係にあります。これまで戸建てにしか住んだことがない人や、ずっと賃貸住宅に住んでいた人にとっては慣れない組織かもしれません。しかし、管理組合の存在意義は「大切な自分のマンションを守るため」に他なりません。購入する際にはしっかりと管理規約を読み、これから生活するマンションではどういったルールがあるのか、禁止されている事項は何か、などを把握しておくと良いでしょう。

次回は、実際の管理組合の運営についてお話します。