新築マンションに比べ、中古マンションの魅力と言えばまずは「価格が安い」ことです。
同じエリアにある新築物件よりも2割~5割程度価格が下回っていれば、購入しやすさはぐんと上がります。また、資金計画的にも余裕が生まれ、住宅ローンの返済も無理なく進められるメリットがあります。
中古マンションを売る方としては、少しでも高く売れてくれるに越したことはありません。住宅ローンの残債が全額返済出来て、手元に残るお金があれば住み替えもスムーズに行くのでベストです。しかし、市況や物件そのものの評価によっては希望する金額で売り出せないケースもあります。
今回は中古マンションの値段の決め方のポイントをお話します。
中古マンションの「査定」とは
中古マンションの値段は、不動産会社の「査定」を元に決められています。
査定には付近の成約状況などのデータから算出する「簡易査定」(「机上査定」とも言われます)と、実際の物件に入って細かく評定を行う「実査定」(「訪問査定」とも言われます)があります。
では、中古マンションはどういった項目で査定されているのでしょうか。
査定に関わる重要項目は以下の14項目で、それぞれスコアリング方式で評点を出します。優れていればプラス◯点、劣っていればマイナス◯点という具合に点数を合計していきます。
①築年数
築年数が浅く、新しければ新しいほど評点は高くなります。
②交通の便
最寄りの駅までの距離は、マンション査定の中でも最重要項目です。
徒歩6分まではプラス点、それ以上は1分ごとにマイナス点が多くなってしまいます。
③生活(買い物)の利便性
普段使いのスーパーやコンビニが近くにあるかどうか。いろんな種類のお店があれば利便性は高くなりますが、ありすぎても騒音や人通りが多くなるなどバランスを欠くこともあります。
④建物のグレード
マンションエントランスや外壁の高級感と合わせて、専有部分のシステムキッチン、バス・トイ レ、床材、建具のグレード感が評価されます。
浴室乾燥、追い炊き機能、床暖房、ディスポーザーなどの室内設備もチェック項目です。
⑤管理の形態
管理人の勤務形態はどうか、以下の4つに分かれます。
・常駐管理(住込)
・日勤管理
・巡回管理
・無人管理(自力、自主管理)
当然ながら、管理人の勤務時間が長い方が維持管理が行き渡り高評価につながります。
また、修繕積立金が十分に積み上がっているか、「長期修繕計画」に基づいて計画的に大規模修繕が行われているかもポイントです。
⑥駐車施設の有無
住戸数に対しての駐車場の数、機械式か平面かなどの設備がチェックされます。
⑦階数
1、2階はマイナス評価、3階以上がプラスとなります。
場合によっては1、2階を希望される買主もいるので、マイナス=売れないではありません。
⑧方位、向き
日本人は南向き信仰が強いため南の評価が最も高くなります。続いて東→西→北と評価が下がっていきます。南向きの中でも南東→南西の順に高評価となっています。
⑨部屋の位置(角部屋・中部屋)
分譲マンションでは角部屋の方が中部屋より高評価です。
⑩間取り
2LDKや3LDKといった部屋数よりも、柱や梁が出ていないかや家事導線の良さなどがポイントにつながります。
⑪日当たり、眺望
海が見える眺望などは高評価となります。また、目の前が公園や川など将来建築物が建つ可能性が低いのも高評価です。
日当たりは良いに越したことはありませんが、地域によって西陽への感じ方や入居者の生活パターンによっても評価が分かれる所があります。
⑫騒音、振動
大きな幹線道路や線路に面していないか、付近に音や振動を発する施設がないかといった環境面がポイントです。
⑬室内の状況
室内をどれだけ綺麗に使用しているかがポイントです。喫煙やペット飼育での汚れや破損、設備機器の故障などはマイナスに直結します。
⑭敷地利用権の種類
所有権以外にも定期借地権の場合があります。
こうしてまとめられた評点と、同じエリアのこれまでの成約事例を基に「これくらいの値段なら売れるだろう」査定価格が出されます。多少の値交渉が入ることも想定して、売却可能な価格帯が決まっていくのです。
中古マンションを買う人にとっては安ければ安い方が良いのは当たり前なのですが、不動産というものには「お買い得」は存在しないといっても過言ではありません。
逆に付近の物件相場よりも破格に安すぎるものには「何かがある」と疑ってみる方が得策です。
思わぬ事故物件を引き当てないよう、しっかりと見極めましょう。