住宅に関係する保険として「火災保険」があります。読んで字の如く「万が一火災が起こった時に備える保険」です。
持ち家としてマンションを購入した際には、この火災保険が大きく関わってきます。
今回は火災保険の内容と必要性、住宅ローンとの関係をお話しします。
火災保険でカバーできること
まず火災の原因の1位は「たばこ」2位が「焚き火」その他に「コンロ」「放火」「放火の疑い」というデータがあります。
平成30年の記録では年間で約3万7900件の火災があり、実に1日104件、14分に1件の発生率となります。
あまり身近にある災害ではないかもしれませんが、火災は「自分に原因があって発生する」ケースと、「近所の火災が原因で燃え移る(延焼)」ケースの2種類があります。
前者はもちろん自分に責任があるのですが、後者の場合はどうでしょうか。
「損害賠償を請求すればいい」と思いがちですが、実は「失火責任法」という法律があり、故意や重大な過失がなければ損害賠償を求めることはできないのです。
つまり、自分が原因ではなく、近隣で起きた火災によって家や家財が失われたとしても、自分で損失をカバーしなくてはならないのです。
火災で失われるのは家だけでなく、家の中にある家財道具一式。家具家電や衣類、日用品、貴重品まで全てです。生活を一から立て直すには莫大な費用が掛かるので、火災保険の必要性は非常に大きいものになります。
火災保険は「火災」だけでなく以下の内容にも対応しています。
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹(ひょう)災、雪災
・水災
・水漏れ
・盗難
・破損、汚損
自然災害が増加している昨今、火災保険で様々な被害に対応してくれているのは助かります。
ただし、これはあくまでも家屋に対しての補償になります。家の中にある家財が受けた被害は「家財保険」に加入する必要があります。必要な場合は火災保険とセットで加入しましょう。
地震保険とは?
火災と同様、「地震保険」という言葉もよく耳にします。実は火災保険では「地震が原因で起こった火災は対象外」なのです。
地震大国日本では、損害保険会社と国とで運営している地震保険があります。
国が関わっているため、どこの保険会社で加入してもその内容は一律となっています。
また地震に対するリスクが地域によって違うため、県別に係数が異なる(保険料が違う)という特徴があります。東京や静岡などは一番保険料が高い地域になります。
地震保険は単独で加入することは出来ないので、火災保険にプラスして加入します。1年更新、または最長で5年更新を選択します。
また、火災保険加入期間中であれば、いつでも加入することが可能です。当初加入していなくても、「最近、不安になってきた」という場合に後付けで加入出来るので安心です。
住宅ローンを借入れしている人は必ず火災保険に加入しよう
住宅ローン利用してマイホームを購入した人は、必ず火災保険に加入しましょう。と言うのも、金融機関にとってはその住宅はローンを貸し出す際の重要な「担保」になっているからです。
万が一、ローンの返済が滞った際には「競売」にかけて債権を回収しなくてはなりません。
もしも火災で建物が焼失してしまうと、お金を回収することが不可能になるからです。
入居が近くなると火災保険に加入した証拠として、「保険証券のコピー」等の提出を求められます。
さらに「質権」という権利を登記するケースもあります。
「質権」とは、もしも火災で家が焼失して火災保険が支払われることになった場合、金融機関が優先的にその保険金を受け取ることができる権利です。
住宅ローンの残りを保険金で払ってもらおうというわけです。
住宅ローンは金額が大きく、かつ長期に渡って貸し出すものなので、金融機関としては当たり前の措置なのですね。
どれくらい保険を掛ければ良いか?と悩みますが、安すぎても万が一の時に困りますし、高すぎても保険料が負担になります。「建物時価額いっぱいまで」掛けておくのが一般的です。
また、マンションでは共用部分については管理組合で保険に加入しています専有部分についての保険に加入しておけば大丈夫です。
住宅ローンは最長で35年です。基本的に火災保険は住宅ローンの借入期間中はずっと加入しておいた方が安心です。(フラット35では借入期間中の加入が義務付けられています。)
また以前は35年一括払いで保険料を支払うことが出来ていましたが、最近は大きな災害が頻繁に起こるようになったことで、最長契約期間が10年に短縮される法改正がありました。
1年更新よりも10年一括の方が保険料も安く済みますが、10年後の更新手続きを忘れないようにしましょう。
もちろん住宅ローンを利用していない人でも、万が一のために加入しておくことをお勧めします。