年が開けると会社員や公務員などは職場から「源泉徴収票」が発行されます。(12月のうちに手にする人もいます)これまで、この書類を何気なく見たり、保管せずに捨ててしまっていた人もいたかもしれません。しかしマンションなどの不動産を購入しようとしている人にとっては、この源泉徴収票は非常に大切な情報が詰まった書類となります。
今回は、源泉徴収票に何が記載されていて、大事な部分はどこなのかをお話しします。
源泉徴収票には何が記載されている?
一言で言うと、源泉徴収票とは会社(あなたの勤務先)が今年1年間(1月~12月)であなたに対していくらお給料を支払って、いくら税金を徴収したかを記載した書類です。
たくさん数字が並んでいますが、その中で一列目に「種別」「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収額」という項目が記載されています。
一般的な会社員等であれば「種別」には通常、「給与・賞与」という名目で記載があります。役員などの役職になると「報酬」と書かれることもあります。支払者である勤務先がどういう名目で支払っているかによります。
住宅を購入しようとする人にとっては、次の「支払金額」が重要な数字となります。1枚の源泉徴収票の中で一番高額な数字が入っているはずなのですが、ここに記載された数字こそがあなたの「年収」となる数字なのです。ここにはいろんな税金が差し引かれる前の「税込年収」が記されています。住宅ローンを借り入れしようとする場合には、とにかくこの税込年収が審査の基準となります。モデルルームを見学に行って、いざ資金計算をしてもらおうとすると、必ず「昨年の年収はおいくらでしたか?」とたずねられます。これまで源泉徴収票を詳しく見てこなかった人も、自分自身の税込年収金額くらいは覚えておくと良いでしょう。
この数字を毎年把握しておけば、自分の年収がいくら上がったのか、下がったのかなどの動きも知ることが出来ます。住宅ローンを借り入れする上では、年収が安定していることが最も重要です。銀行側は、たとえ年収が上がっていたとしても上げ幅が大きい場合などは、「毎年この調子で上がり続けるはずがない」「同じ幅で下がることもあるのでは?」と詮索することもあるのです。たまたま業績が良くてボーナスが上がったというような場合は、少し注意しましょう。こうした意味もあって、銀行は直近2年分の収入資料を求めてくるのです。
所得税をいくら支払っていますか?
そして次に大切なのが右端の欄「源泉徴収額」です。この欄に記載されているのがあなたがこの1年間で支払った(給与から天引きされた)所得税の金額です。
住宅ローンをこれから借り入れしようとしている人にとっては、「住宅ローン控除」で還付される金額を決定する鍵となる金額です。
現在の制度では住宅ローンの年末残高の1%で最大40万円が還付されることになっています。つまり4000万円の住宅ローンを借り入れした場合と考えることが出来ますが、全ての人がこの40万円を還付されるわけではありません。
住宅ローンの年末残高が4000万円の人が、この「源泉徴収額」の欄に「25万円」と記入されていた場合、還付されるのは25万円までとなります。つまり、この源泉徴収額が上限となるのです。
よく誤解されやすい部分なのですが、住宅ローン控除の税制優遇の財源は「あなた自身が支払った年間の所得税」なのです。1年かけて徴収されてきた所得税を年末調整で取り戻すのが、住宅ローン控除なのです。つまり、あなたが支払ってきた年間税額以上のお金は戻って来ないという事になります。
この大原則を理解せずに住宅ローンを借り入れし、目一杯税金が還付されると思い込んでいると痛い目似合うので要注意です!!
先程の例で、「40万円戻ってくると思っていたのに残りの15万円は損してしまうのか?」と思ってしまいますよね。この取り戻し切れなかった部分については、翌年の住民税から控除することが可能なのです。
ところが、これで25万円+15万円で40万円全額還付される・・・とはならないのです。
住民税から控除されるのは現行、最大限で13万6千円とされているのです。若干取り戻せない部分が残ってしまいますが、ほぼ40万円に近い金額が還付されることになります。
この住民税からも住宅ローン控除を取り戻すことができるのは、所得税をたくさん支払っていない層がきちんと還付を受けられるようにするように追加された内容です。所得税だけで年末残高1%分を還付しきってしまう人は対象外です。
住宅ローン控除を利用して2年目以降の人は、住宅ローン控除の金額も併せて源泉徴収票の中段に記載されているはずですので確認してみましょう。
これまで何気無く眺めていたかもしれない源泉徴収票、新しいものが手に入ったら一度良く見てみるといろんな事が分かるかもしれません。