2019年も残りわずかとなりました。12月には冬のボーナスが支給された方も多いはずですね。
住宅ローンの支払いで、元々ボーナス払いを組み込んでいる人、ボーナス払いはなしで月々のみの支払いの人がいると思いますが、特にボーナス払いがない人にとっては「ボーナスで繰上げ返済をした方がお得か?」と悩むことも。今回はボーナスで繰上げ返済した方が良いのか、それとも貯蓄に回した方がいいのかについてお話します。
超低金利時代の繰上げ返済の効果
繰上げ返済をする際には、元金部分をある程度まとめて返済することになるので、本来では支払う予定だった利息もまとめて支払わなくて済むことになります。この浮いた利息部分が「お得」になるお金です。結果として「総支払額」が予定より少なくなる効果や、支払い回数が減少して完済時期が早く訪れる効果を得ることが出来るのです。
35年返済という期間で借り入れしている人が大半だと思いますが、皆さん「定年までに住宅ローンを終わらせる!」ことを一つの目標としているでしょう。年金の支給年齢が引き上げられ、老後には2000万円必要などといったニュースも一時期ありました。住宅ローンが無事に終わっていれば、老後の生活設計も随分と余裕が出てきます。
では、具体的に100万円を繰上げ返済した場合に得られる効果を見て見ましょう。
2018年12月に2000万円を35年返済、元利均等、毎月返済のみで借り入れ、繰り上げ返済の時期を3つのケースで試算してみると、繰り上げ返済の効果は、以下のようになります。
▼2018年12月に借り入れ
借入額:2000万円
借入金利:1.41%
毎月返済額:6万0358円
総返済額:約2535万円
▼ケース1:2019年12月に100万円を繰り上げ返済する
総返済額:約2476万円
利息軽減分:約59万円
返済短縮回数:26回
▼ケース2:1年後の2020年12月に100万円を繰り上げ返済する
総返済額:約2478万円
利息軽減分:約57万円
返済短縮回数:25回
▼ケース3:5年後の2024年12月に100万円を繰り上げ返済する
総返済額:約2487万円
利息軽減分:約48万円
返済短縮回数:24回
返済開始から1年たち、もしも、今ボーナスを活用して、12月に100万円を繰り上げ返済すると、利息軽減は約59万円で、返済期間は26回、2年2カ月短縮できます。現在、一般的な定期預金に100万円を1年預けても、利息はわずか100円(税引き前)ぽっち。それならば100万円を繰上げ返済に回した方が得策と言えます
しかし、今は繰り上げ返済をせず、1年後の2020年12月(ケース2)に繰り上げ返済をすることにしたら、どうでしょうか。利息軽減効果は約57万円でわずかながら少なくなりますが、返済短縮期間は25回、2年1カ月の短縮です。ケース1と1年の差があるのにそれほど効果の差は生じていませんね。
さらに5年後の2024年12月(ケース3)に繰り上げ返済した場合は、どうでしょうか。利息軽減は約48万円、返済短縮期間は24回、2年となります。
元々、低金利で借り入れをしているのでこのような結果になったわけです。確かに、早い時期に繰り上げ返済をしたほうが利息軽減効果は高くなりますが、返済短縮期間には、ほぼ違いはありません。
急いで繰上げ返済しなくてもいい?
このように、早い時期に繰り上げ返済をしたほうが利息軽減効果は高くなりますが、返済短縮期間にはほぼ違いはありません。そうであれば、何がなんでも急いで繰り上げ返済をするのがいいわけではない、という考え方も出来ることになります。
例えば子育て真っ最中の家庭であれば、高校や大学へ進学するための教育費増大に備えなくてはいけません。となると、せっせと繰上げ返済を頑張るよりも「必要な時に自由になる蓄え」のために貯蓄をする必要があります。
同じ100万円でも繰り上げ返済に回すのか、子どもの教育費に充てるのかでその後のマネープランは大きく変わってきます。まずは教育費、その他必ず出ていくお金の用意ができているか、ほかに大きな出費の予定はないのか、その手当てはできているのかなど、家計と貯蓄プランを確認してから判断するのが、いまどきのボーナスの賢い使い方といえるでしょう。
試算では、100万円を繰り上げ返済に回すとしていますが、金融機関によっては少額から繰り上げ返済ができるところもあります。10万円、20万円とボーナスの一部を利用して、こまめに返済していくという考え方もあります。また、手数料がかかる場合と無料の場合があります。金融機関ごとに制度が異なりますので、しっかり調べてから行いましょう。
まず、最優先すべきは、近いうちにやってくる子どもの教育費など、大きな出費に備えることです。その準備ができていれば、積極的に繰り上げ返済をしていけばいいでしょう。