マンションを購入すると、住宅ローンの支払いの他にも負担しなくてはならない費用が発生します。「管理費・修繕積立金」と呼ばれるものです。また、車を停めて置く場所も「駐車場使用料」という形で毎月入居者の負担となります。(バイクや自転車置き場にも費用が発生します)
これらの費用は、一戸建ての住宅であれば不要となるものですから、「マンションに住むと損をする」と感じてしまうかもしれませんね。
しかし、マンションは共同住宅つまり、購入者全員の共有資産なのです。◯◯◯号室という専有部分は購入者独自の所有になりますが、敷地や共用部分については購入者全員の持ち物なのです。ですから、資産の価値を下げないようにするには日々の管理や修繕が不可欠になってくるのですね。
管理費・修繕積立金の金額の決め方
ところで、一つのマンションにはたくさんの間取りや広さのお部屋があります。例えば100戸の分譲マンションの場合、毎月必要な管理費・修繕積立金の金額は100件で割った金額になると思いますか?もしも50㎡に住んでいる人と、100㎡に住んでいるひとの負担額が一緒であったなら「不公平だな」と感じませんか?
答えはNO、管理費・修繕積立金は、所有者それぞれの「共有持分」の割合によって決められています
ではこの「共有持分」はどのように算出されるのでしょうか。
通常は、購入した部屋の専有面積割合が鍵となります。よくある計算方式としては、専有面積を整数にし①、全住戸の専有面積の合計②で割った数字が共有持分となります。
例えば先ほどの100戸のマンションの部屋が下記のような構成だったとします。
Aタイプ 50.79㎡ 10戸
Bタイプ 78.54㎡ 40戸
Cタイプ 85.32㎡ 30戸
Dタイプ 100.63㎡ 20戸
A~Dタイプの面積をそれぞれ整数になるよう100倍し(分子)、戸数分を合計すると
Aタイプ 5,079×10=50,790
Bタイプ 7,854×40=314,160
Cタイプ 8,532×30=256,960
Dタイプ 10,063×20=201,260
合計823,170(分母)
もしもあなたがBタイプの部屋を購入した場合、共有持分は823,170分の7,854という割合になります。
このように部屋タイプの持分割合に応じて管理に関わる費用を負担していきます。
入居時に一括払いする「修繕積立基金」や「管理準備金」と呼ばれる費用も、この共有持分割合に応じて負担することになっています。
管理費・修繕積立金は値上がりする?
ところで、この管理費・修繕積立金の金額は物件の価格表などに表示してあるケースが多いですが、その金額は入居後もずっと変わらないと思いますか?
住宅ローンの金額が毎月いくら、それに管理費・修繕積立金がいくらプラスで、毎月の住居費はこのくらい・・・という資金計画書を営業マンから受け取ると思います。ただし、これはあくまでも入居時のものになります。
35年ローンの期間中、実は管理費・修繕積立金は一定ではありません。
「え?値上がりするの?」と驚く方もいるかもしれませんが、「値上がりする」ものだと認識を改めて下さい!
修繕積立金の計算根拠となるのは「長期修繕計画」です。
多くが入居後30年を目処に、将来必要となる修繕費用を計画的に積み立てるよう設計されています。これだけのお金が必要だから、◯年かけて貯蓄していく必要がある。そのためには、段階的に徴収金額を値上げしていかなくてはならない、という考え方なのですね。
大体、5年毎に少しずつ値上げしていく計画が多いように思われます。
長期修繕計画の中に右肩上がりのグラフが書かれているページがあれば、それが修繕積立金の徴収計画になります。
この右肩上がりのグラフの線は低層のマンションとタワーマンション、物件規模(戸数)などによって違ってきます。
検討する際に、長期収税計画を比較してみるのも一つですね。(ただし、この計画案は管理組合の承認を得て実行されます)
また、車を停めるスペースも全員の共有財産である土地を「使わせてもらっている」という考え方になるため、「駐車場使用料」として負担が発生します。
この料金体制も、「どれだけ借りてもらったら◯円の収入になる」という稼働率から設定されています。
そのため、将来極端に利用者が減って「駐車場使用料」が回収出来なくなってしまった場合、値上げを検討しなくてはならなくなる可能性があります。
ファミリータイプばかりのマンションと、1LDKなど単身者向け投資物件向けの住戸があるマンションとでは、駐車場を必要とする人数も変わってきます。全住戸分の駐車場が最初から作られていないマンションがあるのは、こういった背景もあるのです。
毎月の支出として「管理費・修繕積立金」は必ず見込んでおかなければなりません。たまに未払いが何年も溜まってしまう方がいます。これはトラブルの大元になる問題で、場合によっては裁判沙汰になったり、最悪は強制的に競売に掛けられてしまう可能性もあります。
住宅ローンの費用ばかりでなく、「毎月の支出合計額」に注意して資金計画を立てましょう。