さあ、持ち家を買おう!と決意してモデルルームへ出掛けて資金計画を立てる時、あなたはどういう組立をするでしょうか?
「ご予算はおいくらぐらいでお考えですか?」という質問をされると、「○千万円以内で。」とか「◯千万円台で」というボーダーラインを回答される方が多いと思います。
その金額は世間一般的な相場だったり何んとなくのイメージだったり、ざっくりとした数字ではないですか?
その金額の根拠はどこにあるのでしょうか。
ローンの支払い金額についても、「今の家賃と同じくらいの金額なら無理なく支払える」という基準で考えている人が多いでしょう。
きちんと返済できる金額だけを借入れする、というのはもちろん大前提のお話です。
ですが、「借りられる額」≠「返せる額」実は別物なのです。
ここをきちんと押さえていないと、あなたにとって過剰な住宅ローンを借入れしてしまい返済に追われる事態になりかねません。
今回は、「借りられる額」と「返せる額」の違いについてお話しします。
「借りられる額」は返済負担率から計算する
借りられる額とは、あなたが銀行に審査される際に最大限に借入れできる限度額とも言えます。
この金額は、あなたの昨年の税込年収を元に「返済負担率」という限度の枠内で算出されます。
フラット35の固定金利1.18% 35年 元利金等を例に計算してみましょう。
税込年収500万円の場合、他に車のローンなどが無いとして、借入れ限度額は5,015万円になります。
フラット35では年収400万円以上であれば、返済負担率は35%以下という制限があります。
この枠の中で5015万円が最高額となるのです。
この結果を見て、「じゃあ5,000万円の物件が買えるのか!」と考えるのは危険です。
5,000万円を借入れした時の返済金額はどうなるでしょうか?
ボーナス払いなし、毎月払いのみの場合145,376円になります。(フラット35sの金利優遇は含みません)
住宅ローンの返済だけでこの金額です。マンションであれば毎月の管理費や修繕積立金、駐車場使用料は別途用意しなくてはなりません。
ボーナス払いに2000万円を充てた場合でも、毎月87,225円、ボーナス時1回の加算額が349,594円になります。
ちなみに、一般の銀行の住宅ローンでは「審査金利」というものが存在します。(フラット35では毎月の実行金利をそのまま審査金利として使用します。)
銀行によってその数字は異なりますが大体3%~4%が多いようです。実際の適用金利はもっと低いですが、金利が上昇した場合のことを想定して高めの金利で審査をするのです。
審査金利4%だった場合の年収500万円の人の借入れ限度額は、3,293万円になります。
審査金利が高くなる分審査が厳しくなり、先程より借入れ金額が下がりました。
「返せる額」は手取り収入から考える
先程の借りられる額とは審査上の話しであって、基準になるのは税込の年収金額です。
しかし、実際には手取り収入から毎月の支出を考えなくてはなりません。
住宅費の他、食費・水道光熱費・教育費・通信費・医療費・貯蓄他・・・これらを上手くやりくりしなくてはなりません。
「現在の家賃と同じくらい」というイメージは決死て悪いわけではありません。これまで支払い続けてこられた家賃は、これからは少しずつ自分のものになっていく費用に変わるだけです。
例えば毎月の希望支払い額が8万円の場合
フラット35 固定金利1.18% 35年 元利金等で逆算すると、借入れ限度額は2,751万円となります。
5,000万円と2,700万円、ほぼ倍半分の差になるのです!
低金利時代の昨今、審査金利が実行金利と同じフラット35の場合は「借りられる額」と「支払える(返せる)額」の乖離が激しくなります。
ちなみに先程と同じ年収500万円であれば、返済負担率は19.2%となります。
実は、ファイナンシャルプランナーの方はよく「理想的な返済負担率は20%~25以内」という話をされます。
将来の不測の事態が起こった時、冠婚葬祭で思わぬ出費が続いたり、子供が私立の学校へ進学すれば教育費が高くなったり、病気で入院したり家族の介護が必要となったり・・・様々な可能性を考え、かつ貯蓄も続けられる余裕を持っておくことが、ローン破綻しないための大事なポイントになります。
借りられる額を元に資金計画を立ててしまうと、結局支払えない物件を購入することになってしまいます。
手取りの世帯収入をきちんと把握し、「支払える額」を元に住宅ローンを借りることをお勧めします。