新築マンションの価格が高騰する中、中古マンションを購入して自分好みにリノベーションする人が増加しています。リノベーションのメリットは、なんといってもライフスタイルに合わせた住まいが実現することです。また数ある既存の物件から選ぶことができるので、選択肢が大きく広がるのも魅力です。さらに新築を建築・購入するよりも、コスト面でも20%~30%抑えることができると言われています。
今回は中古マンションを購入してリノベーションする場合に必要なこと、かかる時間を解説します。
①物件探し
マイホーム探しの第一歩は、新築・中古に関わらず「物件探し」です。自分たちが住みたいエリア、広さ、価格帯を決めましょう。不動産会社に相談、内見の予約を取るのはもちろんですが、リノベーション前提となりますので「物件の構造」を確認することが重要です。マンションのリノベーションというと、部屋の中の壁を全て取り払って自由に間取りを変更するイメージがありますが、「壁式構造」のマンションでは不可能なのです。
また、当然ながら「共用部分」と呼ばれる場所には手を加えることが出来ません。隣の部屋との戸境壁やバルコニーなどは良く知られていますが、実は玄関ドアやサッシなどの外部に面している部分も共用部分なのです。マンション全体の外観に関係する場所は、基本的に変更することができません。
さらに管理規約で大幅なリノベーションが可能かどうか、「新耐震基準」の物件かどうかも必ず確認しましょう。
毎月のライニングコストである管理費・修繕積立金は、将来的な値上がりの確認も必要です。
物件探しの期間は1~3か月を目安にしましょう。
②購入手続き
気に入った物件が見つかると、価格交渉を行ったうえで購入手続きに進みます。
購入申込を行ってから、重要事項説明を受け売買契約を締結します。この時点で「手付金」の支払いが必要となります。物件価格の20%以内という上限があり、一般的には5~10%となるケースが多いです。売主と相談してみましょう。
住宅ローンを利用する場合は、契約前に事前審査を行うことが重要です。契約後に資金計画のめどが立たないことが発覚すると、解約する場合には支払った手付金は放棄する形となるからです。
契約後には遅滞なく本申込を行い、本審査を進めましょう。「リフォーム一体型」の住宅ローンがおすすめです。
住宅ローンの融資実行を行い、物件の引き渡しを受けます。手続きにかかる時間は1~2か月程度です。
また、リノベーション業者との相談は①②と並行して行うことが望ましいです。少しでも時間のロスを防ぐためには、事前に希望のプランをしっかりと相談しておくことが重要です。リノベーション会社によっては物件探しも手伝ってくれる場合がありますので、不動産会社と同様複数の会社に相談してみるとよいでしょう。
③リノベーションの設計・施工
無事に物件が購入できたら、いよいよリノベーション工事に取り掛かります。
まずは施工会社には実際の物件を見て調査をしてもらった上で、設計プランを立ててもらいます。もちろん、複数の会社に依頼しても大丈夫です。施工会社を選定したら、工事請負契約を締結します。
ここで重要な手続き「管理組合への工事申請書」の届け出です。一般的に、管理組合への届け出は「工事に取り掛かる2週間前」といった期限が設定されています。時間のロスをしないよう、届け出スケジュールも事前に把握しておきましょう。管理組合のルールは事前にしっかりと確認しておくことは、リノベーション工事を成功させる重要なポイントです。
またリノベーション工事は規模も大きく、ある程度の日数を必要とします。工事を行う際には騒音が発生し、ご近所への迷惑となる可能性があります。マンションの上下左右の入居者には事前に挨拶をしておくと良いでしょう。
実際の工事は、まず既存の内装や間取りを解体することから始めます。水回り(キッチン、洗面所、ユニットバス)の位置を変更する場合には、床部分の形状に左右されます。コンクリートスラブに直接フローリングが貼ってある「直床」の場合、配管を変更することが出来ません。場所を変えずに設備だけを取り換える工事であれば可能です。
一方、「二重床」と呼ばれる構造であれば、コンクリートスラブとフローリングの間に空間が設けられているため、水回りの移動も比較的行いやすくなります。その場合も、しっかりと排水できる勾配が取れるかの検証が必要です。
さらに施工途中で追加工事が発生するリスクもあります。予算には余裕を持ちましょう。工事は3か月から6か月の時間を見ておきましょう。
中古マンションを購入してリノベーションするには、計画性が重要です。並行してできる手続きはなるべく一緒に行い、時間に余裕を持って行いましょう。