またもや日銀が利上げ決定!住宅ローン変動金利への影響は?

不動産コラム

日本銀行(日銀)が2025年1月23日・24日の金融政策決定会合で、「追加利上げを決定した」とのニュースがありました。世界情勢的に見るとアメリカではトランプ大統領の就任がありましたが、市場への大きな影響もなく、国内では賃上げの動きも期待できることから今回の決定となったようです。最近よく耳にする利上げの話題ですが、実際のところ私たちの住宅ローンへの影響はどうなのでしょうか。

マイナス金利解除そして利上げへ

今回の追加利上げでは0.25%引き上げ、短期金利の誘導目標は「0.50%」となっています。ここまでに至る金利の動きを振り返ってみましょう。

住宅ローンの金利は「短期金利」と「長期金利」の2本柱となっていますが、これらは日銀の金融政策が元となっています。2016年以降、短期金利は「▲0.1%のマイナス金利を適用することで、一方長期金利は大規模な日本国債(10年利回り)の買い入れをすることで低金利コントロールを行ってきました。

最初の利上げの動きは2024年3月の会合でした。この時点で金融緩和政策を修正し、短期金利の誘導目標をマイナス金利から実質的なゼロ金利(マイナス金利の終焉)に変更することを決定しました。これまで「▲0.1%」だった短期金利の誘導目標が「0.0%~0.1%」へ引き上げられたのです。

さらに7月30日31日の会合では短期金利の誘導目標を0.15%引き上げ、「0.25%」へと追加利上げを行うことを決定しました。

そして2025年1月23日・24日、今回の会合でさらなる0.25%の誘導目標の引き上げが行われ、「0.50%」へと追加利上げを行うこととなったのです。マイナス金利解除の動きから3段階、利上げが行われたことになります。

住宅ローン金利はどうなる?

住宅ローンを利用する人の多くが「変動金利」を選択している現在、こうした追加利上げは今後どのような影響を及ぼすのでしょうか。すでに変動金利で住宅ローンを利用している人、これから新規で住宅ローンを利用する人では少し事情が異なってきます。順番に見てみましょう。

すでに変動金利で住宅ローンを利用している人

これまでの追加利上げの影響を受けて、2024年10月から適用金利が上がっているはずです。今回の追加利上げを受けて、さらに2025年4月に0.25%金利が上がると思われます。(変動金利は1年に2回見直しが入り、多くの金融機関で4月と10月に金利上昇のタイミングが訪れます。)

実際に支払う金利を「適用金利」と呼びますが、「基準金利」から「引き下げ幅」を差し引いた後の金利が適用金利となります。

 適用金利 = 基準金利 - 引き下げ幅

どれだけ引き下げ幅があるのかは住宅ローンの契約時に決められていますが、利用者それぞれで異なっている場合もあります。ただし、ローンを完済するまでその引き下げ幅が変わることはありません。利上げによって変化するのはまずは「基準金利」ということになります。(当然、引き下げ幅が変わらずに基準金利が上がれば適用金利も上がることにはなります。)

これまでの動きを時系列で整理すると、

2024年10月 変動金利の基準金利が0.15%上昇→適用金利0.15%上昇→2025年1月以降の返済に反映

2025年4月 変動金利の基準霧が0.25%上昇→適用金利0.25%上昇→2025年7月以降の返済に反映

となります。

しかし、ここで「2025年の半年で0.4%も金利が上がったら、返済額がどれだけ増えるのか?」と慌てないことです。

変動金利の契約では多くが「5年ルール」が存在します。たとえ適用金利が引き上げられたとしても、返済額そのものは5年間変わりません。元利均等返済では毎月の返済額が一定ですが、内訳は「元金」と「利息(金利)」の合計金額となっており、金利が上昇した場合は、金利の内訳が増える仕組みとなっているだけです。返済額が変わらずに金利の内訳が増えるということは、借入した元金(元本)の減り方が鈍くなるということです。

(※「5年ルール」が適用になっていない住宅ローンもありますので、金銭消費貸借契約書を確認しましょう。)

② これから新規で変動金利の住宅ローンを利用する人

これから住宅ローンを新規で借り入れする人、または借り換えをする人にとっては、今回の追加利上げの影響が気になるところです。おそらく今回の追加利上げを受けて、多くの金融機関で年4月に0.25%の引き上げが予想されます。

しかし、4月以降の新規顧客に対してダイレクトに0.25%の金利上乗せをする金融機関は限られてくるかもしれません。金融機関同士での顧客獲得競争には、「低金利」であることが大きな武器となります。基準金利を据え置く、または引き下げ幅を一時的に大きくするなど、金利上昇を抑える動きがあるかもしれません。

各金融機関の4月適用金利の発表は、注目しておきましょう。