マンションは100年住める?建物の寿命を決めるポイントとは

不動産コラム

マンションは一体何年住めるのか?木造の建物と違い、鉄筋コンクリート造のマンションが頑丈であることは一目瞭然です。最近では「100年マンション」や「100年コンクリート」といったワードを耳にすることもありますが、果たしてマンションの寿命はどのくらいなのでしょうか。

物理的には「100年」持つ

一般的に鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは、物理的に100年、あるいはそれ以上の耐用年数があるといいます。現時点で築100年のマンションが存在するわけではありませんが、「100年」という数字が注目されるようになったのは、「100年コンクリート」の出現にあります。

100年コンクリートとは、「大規模な修繕をしなくてもおよそ100年は持つと予想される高強度コンクリート」のことをいいます。一般的なコンクリート造の建築物の設計基準強度が24N/㎟なのに対し、100年コンクリートは30 N/㎟ (1㎠の面積で約300kgの重さに耐えられる強度)と定められており、非常に強い負荷にも耐えられる品質なのです。

またコンクリート自体の強度に加え、需要なのが「かぶり厚」と呼ばれる基準です。かぶり厚とは鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋の表面からこれを覆うコンクリート表面までの最短寸法をいいます。

建物の中心にある鉄筋は「錆びやすさ」が命取りになります。アルカリ性であるコンクリートで覆われることで空気に触れず、錆から守られているのです。しかしコンクリートは経過年数とともに二酸化炭素と反応し、徐々に中性化してひび割れを起こします。ひび割れから雨水などの水分が浸透してしまうと、内部の鉄筋が錆びてしまいます。これを防ぐためには十分なかぶり厚さが必要なのです。

建築基準法では下記のように定められています。

『鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあっては2cm以上、耐力壁、柱又ははりにあっては3cm以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあっては4cm以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上としなければならない。』

「法定耐用年数47年」とは

一方で、税法上のマンションの耐用年数は「47年」と定められています。100年と比べると半分以下です。これはあくまで減価償却費を計算するために定められた数字であり、47年が経過したマンションには住めないという意味ではありません。

減価償却とは、長期間にわたって使用するマンションなどいわゆる「固定資産」を購入した際、購入費用をその年度だけではなく耐用年数に応じた費用として計上する会計処理です。確定申告をする際に、ンション購入費用を47年分に分けて経費計上し、納税できるというシステムなのです。

実際の「マンションが何年持つか」「何年住めるのか」という問題とは関係ないことを知っておきましょう。

「マンションの立地」が与える影響

ところがマンションの品質が同一であっても、立てられる場所によっては寿命に差が生まれます。つまり、どんな環境にさらされているかがポイントです。

例えば日当たりの良し悪しで考えてみましょう。日当たりが良いマンションは重宝されますが、つねに直射日光にさらされると紫外線による劣化が激しくなります。逆に日当たりが悪いと、湿気によってカビやコケなどが生えやすくなります。

また海に近いマンションでは、潮風の影響を受けます。潮風の塩分は錆を発生させ、金属部分の劣化を早めます。

こうした環境下では、想定よりも寿命が短くなる可能性があります。

管理状態が寿命を左右する

高品質のコンクリートで建てられた「100年マンション」でも、定期的なメンテナンスが不可欠です。前述のとおりコンクリート大敵は「ひび割れ」です。定期点検を行うことで早期に発見し、再塗装や補修が必要です。はまた躯体意外の配管などの設備についてもメンテナンスを行わなければ寿命を短くしてしまいます。

特に中古マンションの場合は築年数が経過しているため、より管理体制についてしっかり確認することが重要です。中古マンションは新築よりも安い費用で好みに合った物件が見つかるメリットがありますが、長く住むためのマンションであれば、間取りや部屋の中身以外にも管理に関してチェックが必要です。

例えば、管理組合がきちんと機能しているか、長期修繕計画が存在しているか、計画に沿って点検や修繕作業が行われているか、必要な修繕積立金が積み上がっているかなどを契約前に確認しましょう。

人生で一番高い買い物であるマイホーム、品質の良いものを選びましょう。