政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて様々な政策を行っています。そんな中、住宅の省エネ化とともに子育て世帯の支援事業の柱となる「子育てエコホーム支援事業」がスタートしました。これは、国土交通省が2024年(令和6年)に行う補助金事業です。税金の控除とは違い、条件を満たせばもらえるお金となります。利用できる人の条件、どんな住宅が対象になるのかを知っておきましょう。
子育てエコホーム支援事業の概要
「子育てエコホーム支援事業」の柱は2つで、①子育て世帯と若者夫婦世帯が新築住宅を建設・購入したとき ②住宅の省エネリフォーム(年齢不問、全世帯対象)を行った時が対象となります。
実はこうした補助金制度は2022年から毎年実施されているのですが、補助金をもらえる条件や補助金額はその年によって違います。今回は2024年の内容をご紹介します。
なお、この支援事業は予算に達し次第終了となってしまうため早目の手続きをおすすめします。申請は建築事業者・販売事業者・工事施工業者が行い、補助金も業者を通じて購入者・発注者に還元される形となります。住宅購入者・工事発注者が行う手続きはないとされていますが、「住民票」の提出が求められるため書類の取得などの手間はかかります。
1:子育て世帯と若者夫婦世帯が新築住宅を建設・購入したとき
まず、子育て世帯と若者夫婦世帯のみが対象となる新築住宅を建設・購入した場合です。
子育て世帯とは「申請時に子(2023年4月1日※時点で18歳未満)を有する世帯」です。
また若年夫婦世帯とは「申請時に夫婦である世帯で2023年4月1日※時点でいずれかが39歳以下」です。
(※2024年3月末までに着工する場合、2022年4月1日となります。)
対象となる住宅は長期優良住宅かZEH住宅に限られますが、戸建て(注文住宅・建売問わず)でもマンションでも構いません。性能を証明するための「住宅性能評価書」などの提出が必須となります。
補助金の金額は長期優良住宅で1戸あたり100万円、ZEH住宅で1戸あたり80万円です。ただし、建設地が市街化調整区域かつ土砂災害警戒区域もしくは浸水想定区域内にある場合は、それぞれ半額となります。
長期優良住宅 | ZEH住宅 | |
市街化調整区域であり なおかつ土砂災害警戒区域 もしくは浸水想定区域 | 50万円/戸 | 40万円/戸 |
上記以外 | 100万円/戸 | 80万円/戸 |
前述のとおりこの補助金の申請は建築事業者・販売事業者・工事施工業者が行うため、エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結するか不動産売買契約をする必要があります。事業者が登録しているかどうかは、必ず確認しましょう。
2:住宅の省エネリフォームを行った時
続いて省エネリフォームを行った場合の補助金です。こちらは夫婦の年齢などに関係なく、その住宅の所有者等であれば対象となります。(所有者の家族、賃借人、管理組合なども含みます。)
対象となる工事は、まず必須となるA群①~③がベースとなります。B群④~⑧の工事は、①~③のいずれかと同時に行う場合にのみ補助金対象となります。また、申請する補助額の合計が5万円以上となる必要があります。
【A】
- 開口部の断熱改修 (例:対象窓ガラスへの交換)
- 壁、屋根・天井又は床の断熱改修(例:天井に断熱材を敷く)
- エコ住宅設備の設置(例:節水型トイレの設置)
【B】
- 子育て対応改修(例:ビルトイン食器洗機
- バリアフリー改修(例:手すり設置)
- 防災性向上改修(例;指定の窓への交換)
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
リフォームの補助金は1住戸あたり20万円が上限となりますが、利用する人と住宅の性能によって下記のように上乗せがあります。
発注者 | 通常リフォームの 補助金 | 長期優良リフォームの 補助金 |
子育て世帯 若年夫婦世帯 | 上限30万円/戸 | 上限45万円/戸 |
その他の世帯 | 上限20万円/戸 | 上限30万円/戸 |
新築住宅購入の場合と同じく、リフォームの補助金を受けるためにはエコホーム支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする必要があります。
詳細は「子育てエコホーム支援事業」公式HPを参照してください。
他の補助金との併用や税務申告は?
住宅に関わる補助金にはいくつか種類があります。新築住宅購入の場合は、「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」と併用はできません。リフォームの場合も一部併用できる場合がありますが、詳細は個別に確認しましょう。
公式HPの「よくある質問」を参照してください。
https://kosodate-ecohome.mlit.go.jp/faq/
基本的に個人の場合、補助金は「一時所得」に該当しますので一定金額以上を受け取ると確定申告が必要となります。ただし、今回の「子育てエコホーム支援事業」の補助金は、所得税法第42条第1項(国庫補助金等の総収入金額不算入)に規定される「国庫補助金等」に該当します。きちんと手続きすれば控除対象となる場合もありますので、まずは確定申告で正しく記入をしましょう。
来年以降も同様の補助金政策は継続する可能性は高いと思われます。その年によって、金額や要件が変わることがありますので、都度確認し、最大限に利用しましょう。