マイホーム探しをしている人にとって、「オール電化マンション」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。オール電化マンションは、文字通り調理や空調、照明や給湯など生活に欠かせない道具を、電気のみで動かすマンションです。そのため、ガス会社と契約する必要がなく、一番のメリットはキッチンなどで火を使わないことから安全性が高いと言われています。戸建てでもオール電化リフォームを検討する人が多いのは、そうしたメリットが影響しています。今回は、普及率が右肩上がりに高まっているオール電化マンションのメリットデメリットをご紹介します。
メリット①安全性
オール電化マンションのメリットのひとつは「安全性」です。特にキッチンでガスコンロ=火を使用しないので、火事が起こるリスクを取り除くことができます。共働き家庭では子供だけで留守番する機会が多いので、キッチン回りでの事故の心配がなくなります。また高齢者の世帯でも火の消し忘れによる火災、衣服への火移り事故などを防ぐことができます。ガス漏れによる爆発事故なども起こりません。マンションは木造住宅よりも耐火性は格段に上ですが、集合住宅なので一度延焼してしまうと大きな被害につながります。こうしたメリットのため、オール電化マンションの場合には火災保険料が安くなる保険会社もあります。利用の際はぜひチェックしてみてください。
メリット②光熱費の節約
現代の生活に必要な道具はほとんどが電気を使いますが、「電気ばかりで生活すると、逆に電気代が高くなるのでは?」という心配もあります。オール電化マンションでは通常はガスでまかなう部分、つまりキッチンやお風呂などのお湯を作る時(給湯)にも電気を使います。実は給湯で使うエネルギーは、家庭全体で使うエネルギーの3割を占めるといわれています。オール電化マンションではエコキュートを使ってお湯を沸かしますが、この機器によって生み出される熱エネルギーは使用する電気エネルギーの3倍以上になります。つまり少ないエネルギーでお湯を作ることによって光熱費の節約にもつながり、最終的にはCO2排出の削減も期待できます。また、多くの電力会社では時間帯などによって電気料金が大幅割引されるプランが設定されています。これらを上手に活用することで電気代節約につなげることも可能です。給湯リモコンの表示画面で電力の使用量が表示されるので、常に省エネを意識することも出来ます。
これに加えオール電化マンションはガスを全く使用しない為、ガスの基本料金がかかりません。
メリット③災害時の復旧が早い
確かに停電してしまうとオール電化住宅はすべての機能がストップしてしまいますが、その点ではガス併用住宅と同じ条件といえます。
一方で、日本は地震が多く災害大国ともいわれ、災害時には電気だけでなくガスも水道も、ライフラインすべてがストップしてしまいます。その際に課題となるのが復旧までにかかる時間です。阪神淡路大震災の時には、神戸市では電気が復旧するのに7日間かかったのに対し、水道は90日、ガスは85日もかかっています。つまり、復旧がいち早く完了するのは電気なのです。
また、エコキュートや電気温水器には「貯水」機能があります。タンクに貯水できていれば、断水しても非常用水として利用することができるので安心です。
メリット④キッチンの掃除がしやすい
キッチンのIHヒーターは、平らな面なのでとにかく掃除がしやすく好評です。ガスコンロも最近ではガラストップが主流になり昔ほど凸凹がない表面にはなりましたが、五徳などの部品が欠かせません。お手入れのしやすさという面では、かなり優秀です。
デメリット①使える調理器具に制限がある
IHクッキングヒーターはお手入れのし易さがメリットな一方、使える調理器具に制限があります。フライパンや鍋は「IH対応」のものに限られるため、これまでガスコンロを利用していた場合には一式買い替えなければならないこともあります。また、土鍋などの陶磁器も使えません。
長年ガスを利用してきた人にとっては火力を目で見ることが出来ないので、「火加減」が分かりにくく慣れるまでは使いづらいかもしれません。さらに、火を使わないことが安全性を高める一方で、子どもに「火の怖さ」を教育できないというジレンマもあります。
デメリット②電気代が高くなるケースも
光熱費そのものはガス併用よりも抑えられると言われていましたが、電気代高騰によりオール電化マンションでも電気代が嵩むケースが増えています。近年はリモートワークの急増によって、昼間に在宅している時間が増えたことも影響しています。使用機器が古いと使用電力が多くなるので、できるだけ新しい家電を使ったり、料金プランや電力会社を変えるといった見直しをしてみましょう。
これから物件選びをする人は、省エネ効果の高いエコキュートが設置されているマンションを選びましょう。エコキュートは取り込んだ空気の熱を使ってお湯を沸かすシステムで、オール電化初期に使われていたヒーター式電気給湯器に比べると使用電力量が半分になります。
ガスを使わないことによるメリット、電気しか使えないデメリットをしっかり理解して、マンション選びの参考にしてください。