子育て中のシングルマザーも、マイホームを購入するメリットはたくさんあります。万が一の時には子どもに資産を残すことが出来るほか、賃貸物件よりも居住性が高く、特にセキュリティ面においてはより安心安全な暮らしが出来るからです。しかし一方でシングルマザーには住宅ローンのハードルは高いのでは?と思われがちです。
実は、ポイントを抑えて住宅ローンの申込みをすればシングルマザーもマイホーム購入が可能です。実際に、令和3年の「全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、シングルマザー(母子家庭)世帯で「母本人の名義の持ち家」に居住している世帯は 15.9 %という結果になっています。
住宅ローンで重要視される項目
住宅ローンの審査において金融機関がポイントを置いている項目は、まずは「申込本人の健康状態」です。ご存知の通り住宅ローンには団体信用生命保険が付いており、万が一の時にはこの保険で残債を完済する仕組みとなっています。そのため、まずは団体信用生命保険に加入できる健康体であることが大前提となります。
次いで「借入時の年齢」「完済時の年齢」「物件の担保評価」といった項目が並びます。45歳を過ぎると性別に関係なく借入できる期間が少しずつ短くなっていきます。できれば早いうちに住宅ローンをスタートした方が、健康面そして資金計画的にも有利となります。
そのあとで「年収」「勤務形態」「勤務年数」など、収入の安定性や将来性についての項目を重視します。
懸念している「家族構成」について重要視している金融機関は、約2割に止まっているのが現状です。
肝心なのはきちんと返済できるかどうか
住宅ローンを貸す側としては、「最後まできちんと返済してくれるかどうか」が最も重要なポイントになります。もちろん正社員で、ある程度の勤続年数があれば問題ありません。年収も各金融機関で基準にばらつきがありますが、200万円~300万円以上が目安となります。
審査の際には「返済負担率」を計算しますが、これは住宅ローンの年間返済額が年収に対してどれだけ占めるかを表した割合です。年収によっては35%以内、あるいは30%以内というように一定のラインが設けられていますが、シングル家庭ではできるだけ無理のない資金計画にした方が安心ですので25%~30%以内に抑えることを目指しましょう。この時に注意したいのが「税込み年収」と「手取り年収」の違いです。審査は「税込み年収」で計算しますが、実際の支払いは手取り年収から支出することになります。「借りられる金額」と「返せる金額」はイコールではありません。あくまで手取り年収で返済できる金額を念頭に借入金額を決めましょう。
シングルマザーには「フラット35」がおすすめ
住宅金融支援機構が取り扱っている「フラット35」は、シングルマザーが借りやすい住宅ローンとして注目されています。一般の住宅ローンでは「正社員」以外の雇用形態の人には非常に厳しいのですが、フラット35では契約社員・派遣社員・パート・アルバイトの人でも申込みすることが出来ます。フラット35は全期間固定金利なので、変動金利の住宅ローンに比べると返済金額は高くなります。しかし最初から最後まで返済金額が変わらないので、返済計画が非常に立てやすいというメリットがあります。
さらに「児童手当」や「児童扶養手当」を受給している場合には、その年間受給金額を「年収」として合算することが可能です。この合算によって少しでも多く融資金を借りられる、あるいは返済負担率を下げることができるので、該当する場合にはぜひ活用してください。
妊娠中の団体信用生命には要注意
団体信用生命保険は持病やケガなどの告知をするものですが、「妊娠」の取り扱いはどうなるのでしょうか。
「妊娠」は病気ではありませんが、医師による診断を受けていると告知事項に該当します。またリスクの高い妊娠中の団体信用生命は「謝絶」となる可能性がゼロではありません。ただし、妊娠の事実を隠して告知をすることは絶対にやめましょう。もしも妊娠中あるいは出産によって保険事故になった場合には、団信に加入できていたとしても「告知義務違反」で保険金が下りません。最悪、融資金の一括完済を求められることもあり得ます。事前に妊娠中の団信加入がOKな金融機関をリサーチして申し込むか、妊娠期間を避けて申し込むようにしましょう。
自己資金はなるべく準備しよう
大半の資金を住宅ローンで借り入れするにしても、できれば諸費用部分は現金で用意するようにしましょう。頭金を1割程度用意できると、非常に審査が通りやすくなります。金融機関によっては「頭金1割以上」の場合には金利が優遇されることもあります。
このようにシングルマザーでも一定の条件を満たせば住宅ローンの借り入れは可能です。これから購入を考える方は、少しでも審査に通りやすくする働き方を継続して条件を整えて臨みましょう。