トラブルを防止する「付帯設備表」中古物件は必ずチェックしよう

不動産コラム

中古物件の売場契約に重要な書類には、「物件状況報告書」そして「付帯設備表」があります。「付帯設備表」は主に取引する不動産の「設備の有無」、そしてその設備の「故障の有無」を買主さんに伝える書類です。引き渡しした後で「残しておくもの・撤去するもの」の認識の違いや、故障や不具合を「言った・言わない」といったことから起こるトラブルを防止することを目的としています。民法改正による「契約不適合責任」を問われないよう、「物件状況報告書」とともに重要な書類となります。今回は「付帯設備表」の中身をしっかりと理解しましょう。

「付帯設備表」どんな項目がある?

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会の「付帯設備表」ひな形を例に、「付帯設備表」の項目を見てみましょう。

  • 土地建物
  • マンション

まずは主要な項目として①給湯関係、②水回り関係、③空調関係の3つがあります。生活する上で非常に大事な部分の設備について書かれています。「エアコン/無」と記入していれば、買主さんが「エアコンは付いていると思ったのになくなっている!」というクレームがあっても「エアコンが無いことを承諾して購入した」ことになります。

さらにその他の設備として④照明関係、⑤収納関係、⑥建具関係、⑦テレビ視聴関係、⑧その他の項目が続きます。

例えば建具(扉、窓、網戸など)であれば、スムーズに動くか、変な音はしないか、鍵は壊れていないか、キズや穴はないかといったことに注意して記入します。音はするけれどきちんと閉まる場合、「不具合/無」と書いてしまうとどうでしょうか。人によっては、良い印象を持たれない可能性もあります。

「付帯設備表」は誰が記入する?

「付帯設備表」は「物件状況報告書」とともに、売買契約までに売主さんが作成する書類です。自身の持ち家のことですから簡単に記入できると思いがちですが、普段生活をしていると意外と故障や不具合が当たり前になり慣れてしまっていることがあります。

ですが買主さんの立場で考えると、これから自分たちが使い続けていく設備ですから内覧時にしっかり現状を確認したいはずです。例えば「床暖房」が付いていることを購入条件にしている買主さんにとっては、設備自体は付いていても壊れていると多額の修理代が必要です。その物件を購入するかどうかを判断する、非常に大きなポイントになるのです。

できれば「付帯設備表」は不動産会社の人と一緒に、しっかり時間をかけて記入しておくことをお勧めします。契約当日によく確認せずに記入してしまうと故障や不具合を見落とす可能性がありますし、家具で隠していた大きなキズや汚れのことなど忘れてしまっていることもあるからです。

中古物件は多かれ少なかれキズや汚れがあるものです。少しでも高く、そしてトラブルなく売却したいのであれば、小さいことでも買主さんに伝えるようにしましょう。

付帯設備に保証期間はある?

売却する不動産に付いている様々な設備は、これまで原則「現況引き渡し」とされてきました。しかしこれではトラブルになるケースが多いので、「引き渡しを受けてから1週間の保証期間」を設けることが増えてきました。契約書の中に次のような文面を加えておくと責任の所在が明確になります。

例)売主は買主に対し、設備について契約不適合責任を負わないものとする。ただし、「故障不具合」欄で「無」とした「1.主要設備」については、引渡完了日から7日以内に通知を受けた故障不具合に限り、売主は補修する責任を負う。

付帯設備表の「故障不具合」欄で「有」とした設備については、故障不具合の箇所および具体的内容等を記載して買主へ説明をした場合、売主は修復をせずに引き渡すものとする。

トラブルの元となる「残置物」はできるだけ残さない

まだまだ正常に使える設備は問題ありませんが、トラブルの元となるのは古くて傷んだ設備です。そうした残置物はできるだけ撤去してしまう方が良いでしょう。仮に買主から「残しておいてほしい」との希望があれば、現状を正確に記載した書面を交わし合意しておきましょう。

買主側の注意点

「付帯設備表」の作成は売主がすべきことですが、買主も注意することがあります。

引き渡しを受けたら定められた期間内に必ず設備一式の確認をしましょう。実際に運転してみて正常に作動するか、聞いていた不具合や故障と一致するかを確かめます。

万が一不具合や故障があった場合は、その期間内に申し出ないと売主に補償してもらえなくなります。

また、買主側が不要な設備について「有」と記載されていた場合、その撤去費用は買主負担となります。不要な設備の撤去は契約前に申し出て売主に処分を依頼しておきましょう。

マイホームは大きな買い物です。売主は正確に情報を伝え、買主はその情報をしっかりと精査して気持ちの良い取引が出来るようにしましょう。