今年も梅雨の季節が近づいて来ました。近年では温暖化により気象状況が変化し、これまでより甚大な雨の被害を受けることも多くなりました。特に「ゲリラ豪雨・台風・線状降水帯」といった短時間でこれまで経験したことが無かった雨量が計測される大雨による被害が、各地で発生しています。マンションでは機械式駐車場が設置されていることも多く、地下ピットに車を置いている人にとっては万が一水没した場合はどうなるか非常に心配なところです。
マンションの機械式駐車場の仕組みはどうなっている?
マンションの敷地には限界があるため、平面駐車場よりも機械式駐車場を採用しているケースが多く見られます。機械式駐車場で地下に掘り込んだ「地下ピット」があるタイプは、大雨で大量の水が入り込むと車が水没してしまう可能性があります。
もちろん地下ピットには排水設備があり、集めた雨水を排水ポンプで下水道等へ排出する仕組みなどが取られています。設計図面が閲覧できる場合には是非確認しておきましょう。
設備があったとしてもその排水機能には限界があり、想定外の雨量が短時間で流れ込むと十分に排水できない場合もあります。
水没した場合の責任は?
一般的にマンションの駐車場に停めていた車が水没してしまった場合、その責任の所在は「車両の所有者」となります。マンションの敷地内の事故なので売主や管理会社へ責任を問いたくなるところですが、重量事項説明書、管理規約、駐車場契約書には「駐車場での被害は一切責任が無い」と明記されていることがほとんどです。駐車場の使用箇所は抽選で決められることが多く、自信が希望したわけでもないのに地下ピットを割り当てられることがあります。残念ながら、自分の車は自分で守る必要があります。
管理組合、管理会社に責任を問えるケース
ただ、きちんとメンテナンスや予防策を講じていればある程度の被害を防げる事もあります。それを怠っていたために、被害を受けた場合には管理組合や管理会社に責任を問えることがあります。
例えば
- 排水ポンプの不具合を放置していた
- 想定される大雨に対し、何もアナウンス行為をしていなかった
- 緊急避難として、機械式駐車場のパレットを上げたままにする対策等を取っていなかった
などのケースです。
管理組合・管理会社は、日頃から設備点検を適切に実施し、排水ポンプなどに不具合があればすぐに対応しておかなければなりません。入居者も管理組合員として、点検補修がきちんと行われているかチェックする必要があります。人任せにせず、意識することを心がげましょう。
また、大雨が予想される場合には早めに広報活動を行い、入居者に周知徹底することも大切です。
自身で出来る防御策
自分の車を守るのは所有者自身です。万が一の際には、まず「車を移動させる」のが先決となります。
付近のコインパーキングに一時的に避難させておくのがベストです。出来れば低地よりも高地にあるパーキングがおすすめです。地下だけに留まらず、平面駐車場でも浸水被害に遭う可能性もあるからです。多少費用が掛かってしまいますが、大事な自家用車が廃車になってしまうことを考えればやむを得ません。
最近では天気予報はテレビやラジオだけでなく、携帯のアプリで見ることも出来ます。雨雲レーダーや今後の降雨情報も入手しやすい時代になりました。近年の豪雨災害は、予想を上回る結果になることも多いので、少しでも可能性がある場合には早めに対応することが鍵となります。避難して何もないことが一番です。まずは近所のコインパーキング、身内や知り合い勤務先など、万が一の時の車の避難場所を確保しておきましょう。
車両保険に加入しておこう
最後の頼みの綱は「車両保険」です。
台風や豪雨などの自然災害で大量の雨が流入し車ごと機械式駐車場が冠水してしまった場合、車両保険に加入していれば基本保険の対象になります。車両保険では車の損害額から免責金額(保険加入者が自腹で支払う金額)を引いた分が、車両保険金として支払われます。
ただし、保険のサービス内容によっては支払われる車両保険金の最大額は決められています。
200万円の車両保険で損害金額が300万円だった場合には、免責金額は発生せず、車両保険金額200万全額が支払われます。まかないきれない100万円分は、自腹で支払う必要があります。
車両保険の補償内容は、加入しているコースなどによっても異なります。大雨シーズンに入る前に、今一度保険内容を確認しておきましょう。
まずは「自分の愛車を守るのは自分」であることを心がけ、取れる対策は取っておきましょう。