50年住宅ローンが首都圏初登場!超長期ローンは本当にお得か?

不動産コラム

マイホーム購入に欠かせない住宅ローンですが、標準的な返済期間は35年です。この度、京葉銀行(千葉県本社)が50年住宅ローンの取り扱いを開始したとの発表がありました。首都圏の地方銀行では初となり話題となっています。単純に15年も長く借入をすることに抵抗がある人も少なくないはずですが、働ける期間が長い若年層の人にとってはメリットもあります。

返済額が安くなるのが最大のメリット

返済期間が長くなることでも最大のメリットは、何といっても月々の返済額が抑えられることです。京葉銀行で住宅ローンを借入れした場合で計算してみましょう。

都内では新築マンションの価格が値上がりしており、平均で1億円を超える水準まできています。そこで1億円のマンションを購入した場合、京葉銀行の住宅ローンを利用すると(金利0.725%で金利変動がなかったと仮定)35年返済では月々約27万円の返済額となります。一方、50年返済で同じ借入れをした場合には、月々約19.9万円となります。実に約7万円も安くなる計算となります。

5,000万円の借入の場合は、35年返済では月々約9.9万円、50年返済では月々13.5万円、差額は約3.6万円です。若い人でも物件を購入しやすくなることが、50年住宅ローンの目的の一つなのです。

ただし、住宅ローンには「完済年齢」というものが決められています。京葉銀行では80歳完済となっていますので、主なターゲットは20代から30代前半の人ということになります。それ以上の年齢の人、例えば35歳の人であれば45年、40歳の人は40年というように50年を最大として35年超の期間で借り入れることが出来ます。その他物件の所在地や新築物件に限るなどの条件があります。

返済負担率を減らせる

50年住宅ローンのメリットは月々の返済額を減らせるだけでなく、年収に対する負担割合いわゆる「返済負担率」を抑える効果もあります。上記の5,000万円を年収650万円の人が借り入れる場合、50年返済では32.6%ですが、35年返済では38%超となり、審査基準である35%をオーバーしてしまうのです。このケースでは、650万円の年収の人の35年返済での借入可能額は4,580万円までに下がってしまいます。

50年住宅ローンでは、毎月返済額の負担が軽くなるのに加え、借入可能額もアップするという結果になります。

若い世代にとっては、マイホーム購入のハードルが下がり、より選択肢を広げて物件を探すことができるようになります。

50年ローンで生まれた余裕はどうする?

先ほどの計算で、35年返済と50年返済とでは数万円の差額が生じることが分かりました。その分を貯蓄や投資に回す、あるいは出産や教育といった今後のライフイベントへの支出に充てることも可能になります。

住宅ローンは数あるローンの中でも一番低金利で借りることができ、かつ長期で返済できるという特徴があります。キャッシュを手元に残すことを優先し、あえて超長期で借入れするのも一つの方法です。

50年返済のデメリットは

もちろん50年ローンにすることでのデメリットもあります。35年返済に比べて借入期間が15年も長くなると、当然「総返済額」も増えてしまいます。1億円借入れしたケースでは、その差は約600万円にもなります。

また35年返済と同様、住宅ローンを開始した年齢によっては定年後も返済が続く可能性があります。年収が大きく減ってしまう定年後の返済プランもしっかり考えておく必要があります。

また当然50年後には新築だった物件も築50年となります。途中でリフォームが必要となる可能性もありますし、売却したいと思ったときに残債よりも低い金額での査定となる場合もあります。より資産価値の下がりにくい物件を購入するのがおすすめです。

「期限の利益」と団体信用生命保険を活用する

住宅ローンは本来ならば一括で支払うべき代金を、「35年」「50年」という期限の中で支払えばよいという考え方で成り立っています。これを「期限の利益」と呼びます。50年でローンを借入れたのであれば、50年間お金を借りることができる「権利」を持ったことになります。これは決して50年間借りなければならない「義務」ではありません。途中で繰り上げ返済や一括返済することも可能です。実は住宅ローンの平均完済期間は「20年くらい」という話もあります。これには団体信用生命保険による弁済も含まれています。

住宅ローンは借入れであると同時に保険の意味合いも持っています。期限の利益を最大限に活用し、万が一の時の保険でもあると考えれば、50年ローンを活用するのも一つではないでしょうか。