マイホーム購入は人生で一番大きな買い物。両親や祖父母から資金援助を受けて購入するお話はよく聞きます。通常、親からお金(財産)をもらったときには「贈与税」が課せられます。しかし、住宅を取得するための資金を贈与した場合には、一定の条件を満たしていれば贈与税が非課税になるのです。この制度は「住宅取得等資金の非課税特例」と呼ばれるもので、多くの人が利用してきました。しかしこの優遇制度、本来は2021年12月末をもって終了する予定でしたが、2023年12月31日まで延長されました。政府は少しずつ住宅取得に関係する税制優遇の方針転換を行っていて、将来的には相続税と贈与税を一体化させる話も出ています。
そうなると、2023年が「住宅取得等資金の非課税特例」を使えるラストチャンスになるかも?
新築・中古どちらの住宅でも利用できる制度ですので、しっかり理解しておきましょう。
いくらまで非課税になる?
2021年までの制度では消費税が8%から10%に変更されたこともあり、売買・工事請負契約のタイミングによって限度額が違っていました。2022年からは消費税率に関わらず、一律で限度額が決まる内容となりました。
そして最新の制度の注目点は、「住宅の性能によって非課税額が変わる」ことです。非課税枠は以下の2つのみになります。
A:質の高い住宅(省エネ等住宅)1000万円
B:一般住宅 500万円
Aの「質の高い(省エネ等)住宅」とは、省エネ性・耐震性・バリアフリー性において次のいずれかの条件を満たす住宅を指します。
ⅰ断熱等性能等級4、または一次エネルギー消費量等級4以上
ⅱ耐震等級2以上、または免震建築物であること
ⅲ高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
省エネ住宅であることを証明するためには、次の書類を準備しましょう。
【新築住宅】
①住宅性能証明書
②建設住宅性能評価書
③認定長期優良住宅の係る認定通知書及び
認定長期優良住宅建築証明書等
④低炭素建築物新築等計画認定通知書及び
認定低炭素住宅建築証明書
【中古住宅】
①住宅性能証明書
②建設住宅性能評価書
中古住宅でも上記の書類が提出できる物件であれば、1000万円の非課税枠を利用することが出来ます。また、そのままでは省エネ等住宅の基準を満たさない物件でも、購入時に基準を満たすようにリフォームすることで非課税枠1000万円の対象となります。例えば、結露対策、断熱リフォーム、耐震リフォームなど考えてみてはいかがでしょうか。
その他、基本的な物件の要件として以下があります。
・日本国内の住宅用家屋であること(敷地である土地を含む)
・登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下、かつ1/2以上が自己居住用であること
中古住宅の場合は
・1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されている
・新耐震基準に適合している(証明書類が必要)
・取得の日までに耐震改修を行う(改修前に都道府県等に申請し、贈与を受けた翌年3月15日までに新耐震基準への適合が、証明書等で証明できる)
いずれかが証明できれば利用できます。
特例を使えるのはどんな「人」?
この特例を利用できるのは、物件が条件満たしていることはもちろん、贈与を受ける人にも条件があります。
主なものは以下のとおりです。
- 直系尊属からの贈与であること
自分の両親、祖父母からの贈与に限られます。配偶者の両親、祖父母からの贈与は対象外です。(養子縁組をしている場合を除く)
- 贈与を受けた都市の1月1日時点で成人している(18歳以上である)こと
2022年4月に成人年齢引き下げられました。2022年3月31日以前に贈与を受けた場合は20歳以上となります。
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること
適用を受けて購入する住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下となります。
贈与を受けるタイミングにも注意
贈与税の非課税特例はあくまでもマイホーム購入時に限られます。入居してしまった後に多額の贈与を受けて、住宅ローンの繰り上げ返済などに充ててしまうと通常の贈与税が課せられます。
贈与を受けた金額はすべて購入資金に使い、贈与を受けた翌年3月15日までにその住宅に入居しなくてはなりません。
毎年110万円の基礎控除がありますが、これは何に使ってもよいとされているものです。入居後であれば110万円を何年かに分割して贈与を受けた方が得策です。
「贈与税0円」でも必ず確定申告をしよう
特例を使った結果、贈与税が0円になった場合でも必ず確定申告が必要です。忘れていたり、0円だからと申告をしないままだと通常の贈与税が発生してしまいます!期限を1日でも過ぎると待ってもらえないので、計画的に書類準備をして手続きしましょう。
1000万円の非課税枠が利用できるのは、現状2023年のうちです。マイホーム購入を考えている人、子や孫への贈与を考えている人は、ぜひ早目にご検討ください。